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エドワード・モーティマー氏 (元国連事務総長官房コミュニケーション部長) 講演会

  国連創設70周年記念特別セミナー
「グローバルなアジェンダについて発信する」

 11月25日、国連創設70周年記念特別セミナーとして、エドワード・モーティマー元国連事務総長官房コミュニケーション部長を講師にお迎えし、「グローバルなアジェンダについて発信する」と題して講演会を開催しました。モーティマー氏は、英国での作家やジャーナリストとしての経験を活かし、国連ではコフィ・アナン前事務総長時代に国連スポークスマン及び同事務総長のチーフ・スピーチライターとして活躍されました。本講演では、グローバルな課題を国連においていかに議題化し、加盟国や国際世論の支持をいかに取り付けるのかといった問題において、スピーチが果たす役割を中心にお話をされました。

 講演会の前半では、モーティマー氏がアナン前事務総長時代に果たした役割についてお話されました。アナン氏が事務総長に就任した1997年には、グローバリゼーションの高まりにより、国連がより多くの問題に対処することが求められるようになっていました。しかし当時の事務総長の役割は小さいものにとどまっていました。そこでアナン氏は、効果的に事務総長のメッセージを発信するためのチームを召集し、モーティマー氏はその一員としてチーフ・スピーチライターに就任しました。モーティマー氏は、作成した数多くのメッセージやスピーチ原稿は事務総長の言葉を通じて、国連が取り組むべき課題を加盟国に簡潔に示し、また、その課題の解決に向けて加盟国や国際世論の支持の取り付けにつながるような役割を果たしたと述べられました。

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 講演の後半では、国連事務総長のスピーチと、国際社会における危機対処との関連が言及されました。具体的には、アナン前事務総長時代に起こった3つの危機(コソボ紛争、アメリカでの同時多発テロ、イラク問題)への、国連事務総長スピーチが果たした役割について述べられました。特にイラクに対して実施された石油食料交換プログラムでは、国連の大規模な不正が加盟国から指摘された際、国連事務総長が一つ一つ反論を行うことで危機に対応した経緯を語られました。

 講演後には、多くの参加者との間で積極的に質疑応答が行われ、セミナーは盛況のうちに幕を閉じました。

(OSIPP博士前期課程 藤田美由紀)

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