在学生

【院生投稿】清 衣里奈さん(OSIPP博士前期課程)

インターンシップ体験記

清 衣里奈(OSIPP博士前期課程)

2015年12月から2016年3月まで行った、OECD(経済協力開発機構)でのインターンシップについて報告します。

 

 

1.概要

受け入れ先:OECD貿易農業局(パリ、フランス)

期間:2015年12月7日~2016年3月2日(約3ヵ月)

業務内容:

(1) Assess the access to food in Cambodia using household survey data

(2) Provide statistical support to the development of policy review to improve agricultural productivity growth and sustainability in China

 

2.動機

 OSIPPの友人が以前OECDでインターンをしており、彼女の紹介で受け入れ先がインターンを募集していることを知りました。大学院修了後は民間シンクタンクで勤務予定だったこともあり、シンクタンク機能を持つOECDでの仕事に関心を持ち、応募を決めました。シンクタンクで行われている研究と学術研究の違いについて理解を深め、どのような能力・スキルが求められるのか、大学院で学んだことをどのように仕事で活かすことができるのかについて学び、内定先での仕事やその後のキャリアに活かしたいと考えました。

 

3.インターンシップ内容

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 今回受け入れていただいたのは農業政策に関するリサーチを中心に行う部署でした。ここではOECD加盟国に限らず新興国に関するリサーチも行っており、私もカンボジアの食料消費と中国の農業政策に関する業務を行いました。

 前者の業務ではカンボジアの家計データ(Cambodia Socio-Economic Survey, CSES)を用いて食料消費に関する分析を行いました。カンボジア統計局から提供された状態のデータセットを分析に適した状態に整えるところから始め、消費や所得、農業生産に関する記述統計や図表、簡単なレポートの作成を行いました。後者の業務では、上司が作成していた中国の農業政策に関するペーパーの作成補助を行いました。統計年鑑等の資料に基づいた図表の作成、データ探し、校閲等、上司の執筆状況に合わせて様々な仕事を行いました。

 今回は高度な分析は行わなかったものの、OSIPPで習得した統計ソフトのスキルやリサーチアシスタントの経験を活かして業務に取り組むことができ、大学院での経験は学術分野に限らず実務にも活かすことができるのだと実感しました。

 

4.最後に

 国際機関には学部時代から関心を持っていたものの、その厳しさを知るにつれて諦めてしまっていました。そんな私が今回OECDでのインターンを実現できたのは、OSIPPで得た刺激や経験のお陰だと考えています。まず、キャンパスに閉じこもるだけでなく、精力的に外へ出て調査や発表、インターンや留学を行う他のOSIPP生の姿に刺激を受けたことが、私自身がインターンに挑戦するモチベーションとなりました。また、それまでに先生方の熱心な指導を受けながら学問に打ち込んでいたことも大きな自信となり、諦めていた国際機関へのインターンに応募、実現させることができました。

 このようなOSIPPの環境は今回のインターンだけでなく、様々な場面で私を後押ししてくれました。就職活動もその1つで、学部時代には想像さえできなかったシンクタンク業界に挑戦し、民間シンクタンクから内定をいただくことができました。4月からは官公庁や自治体から受託した調査・研究を行う予定です。

 振り返れば、入学当初は「文系なのに大学院に行くなんて、就職先はあるの?」と心配されることも多く、自分自身も将来の選択肢を狭めてしまったのではないかと不安に感じることもありました。しかし、結果としてOSIPPに進学したことで学部時代には考えられなかったことにも挑戦でき、自分の道が開けたのではないかと考えています。

 

※清さんは、2016年3月にOSIPP博士前期課程を修了されましたが、
 この記事はOSIPP在籍時に投稿されたものです。