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教員紹介 : 西連寺 隆行 准教授

 平成28年4月に本学研究科の准教授に着任した西連寺隆行先生にインタビューを行いました。

 西連寺先生は平成5年4月に上智大学法学部に入学し、同学部卒業後、上智大学大学院法学研究科へ進学しました。大学院博士後期課程を退学後、明治大学など幾つかの大学での非常勤講師を経て、今年4月にOSIPPに着任されました。

 西連寺先生の主な研究分野はEU法であり、とくにEU法と国内法の関係や、構成国におけるEU法の実効性確保の問題に関心をもって研究を進めています。「EU」を学ぶことにした理由について、西連寺先生は、「初めからEUそのものに興味があったというよりも、「地域統合」に関心があったのですが、その先行事例として出てくるのがEUでしたので、それで大学ではEUについて学ぶことにしました。他方で、EU「法」を選んだ理由について、西蓮寺先生は、最初から法的な観点からEUを学びたいと考えていたわけではなく政治でも経済でもよかったのですが、大学で開講されていたのが「EU法」でしたので法の観点から勉強を始めたという次第です」とのことでした。

 現在、西連寺先生はOSIPPにおいて『特殊講義(EU域内市場法)』という授業を担当しています。本年度のテーマはEUにおける人の自由移動で、授業では毎回この問題に関する基本判例を取り上げて全員で議論しています。学期末には受講者が各自選択した判例の評釈を執筆・提出することが求められています。

 OSIPP着任から半年が経過した現在、西連寺先生にOSIPP生の印象を伺ったところ、OSIPP生は自分の専門に関する知識だけではなくて、手を広げて他の分野の知識と結び付けて研究を進めるような学生が多いという印象を持っているとのことでした。

 最後に、西連寺先生にお勧めの著作を伺ったところ、中村民雄著『イギリス憲法とEC法―国会主権の原則の凋落』(東京大学出版会、1993年)を挙げていただきました。この本をお勧めする理由として西連寺先生は、「本著は、イギリスの憲法原則である『国会主権の原則』がEU法の影響を受けて大きく修正されるに至った過程が扱われています。また、影響を受けるイギリス法だけでなく、影響を与える側のEU法についても、その法制度の正統性があわせて論じられています。EU法は各国法と深く結びついていますので、EU法の意義や問題をよりよく理解するには、あわせてEU法・国内法双方視点から考察することが欠かせないのですが、そうした研究の重要性を知るには格好の書であると思いまして、ご紹介しました。最近の重要問題であるイギリスのEU脱退について考えるうえでも非常に有益だと思います」と述べられました。

                      (OSIPP博士前期課程 LIU PAN)

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