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国際シンポジウム「国連安保理改革はなぜ進まないのか:現状と展望」

12月11日、OSIPP創設20周年記念講演シリーズの第10回目となる国際シンポジウムが開催されました。本シンポジウムは「国連安保理改革はなぜ進まないのか:現状と展望」と題し、デイビット・マローン氏(国連大学学長・国連事務次長)、リチャード・ゴーアン氏(ニューヨーク大学教授)、河村健太氏(外務省総合外交政策局国連政策課事務官)をお招きし、国連の安全保障理事会の改革をめぐる議論の現状や可能性、そして日本の立場について議論がなされました。

第一部では、マローン学長とゴーアン教授に基調講演をしていただきました。マローン学長は、安保理を「平和と安全に関わる重要な機関」とした上で、国連の設立以来、加盟国数が増加してきたにもかかわらずその現状が反映されていないとして、安保理改革の必要性を強調されました。また、常任理事国入りを目指すG4(日本、ドイツ、インド、ブラジル)各国ついては、国内あるいは近隣諸国との関係においてそれぞれ異なる事情を抱えていることにも言及されました。一方、ゴーアン教授は、安保理改革において重要なことは、「どのように国連の機能を改善するのか」といった視点を持つことであると述べられました。さらに、現在の安保理改革が進まない理由についてゴーアン教授は、「G4各国が、どのように国連に貢献できるのか、どのような価値を国連に提供できるのか」を明確に示していないためであると指摘されました。

シンポジウムの第二部では、安保理改革における日本の立場に焦点を当てたパネルディスカッションが行われました。その中で河村氏は、日本が常任理事国入りすることは、日本の利益を安保理の決定に反映させたり、また、非公式会合での一次情報が入手可能となったりするという点で、非常に重要であると外務省の見解を説明されました。その後、日本の常任理事国入りに関して、パネリストの方々のみならず聴衆からも多くの質問や意見が飛び交い、時間を延長して討論が交わされました。

(OSIPP博士前期課程 栗山緋都美)

 

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