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教員紹介:北村 周平 専任講師

教員紹介:北村 周平 専任講師


昨年7月付でOSIPP専任講師に着任した北村周平講師にインタビューを行いました。

北村先生は、立命館大学で国際関係学を専攻した後、東北大学で経済学修士号、ストックホルム大学(スウェーデン)で経済学博士号を取得されました。ロチェスター大学(アメリカ合衆国)で1年間教鞭を取られた後、昨年の7月にOSIPPの専任講師として着任されました。とくに経済発展論、歴史経済学、行動・実験経済学を研究されています。

以下、インタビューの内容について、幾つかの項目に分けて紹介します。

 

北村先生が研究者を志した理由や経緯について

北村先生が開発の問題について関心を持ったのは中学生の頃でした。中学時代、ある新聞記事が目に留まったといいます。「タイにおける児童買春の問題について扱った記事でした。開発途上国における貧困問題の現状を知り大きなショックを受けました。その頃から、『貧困を緩和するにはどうすればよいのか?』という、現在にまで至る問題意識を持つようになりました」。

北村先生は博士課程修了間際まで、実務家志望だったそうです。「開発途上国の貧困問題を解決したい」という思いを強く持っていたため、国連や世界銀行への就職を希望していました。しかし、「研究者はアイデアを出す仕事。現場に出て働くよりも、アイデアを出す方が自分を社会に活かせるかもしれない」と思い至り、最終的には研究者を志しました。

 

これまでの研究や、現在の研究について

北村先生はこれまで、大きく分けて2つの研究をされてきました。

まず、戦後日本における農地改革について、計量経済学の手法を用いて研究されてきました。具体的には、「農地改革の結果、それまでの小作農が自作農へと変わっていく中で、彼らの投票行動と技術採用意欲に変化が生じるのか」について実証的に研究を行いました。

北村先生は、1940年代から60年代までの農業センサス(統計調査)や農地改革関連の統計をデータ化しました。その上で、計量的な手法でデータ分析されたといいます。「戦後日本の農地改革について市町村別の全国データを使って分析した研究は、自分のものが初めてだと思う」と話されていました。

 

次に、ヨーロッパの国境に関する研究を行いました。「ヨーロッパには土地に対して国の数が多いが、それはなぜなのか。これまで、ヨーロッパの地形の独特さと国の数、あるいは小国間の競争と制度発展に関する仮説が言われてきたが、実証的に示すことはできないか」と考え、これらの仮説について実証分析を行いました。

北村先生は現在、3つの研究プロジェクトを進行中です。一つ目は、米騒動に関する研究です。二つ目は政治的選好と脳波が関係しているのかについて、脳波実験を用いた研究です。三つ目は気温が人々の行動に及ぼす影響について、ラボ実験を用いた研究です。特に最初と最後の研究に関しては、「相関関係ではなく因果関係を実証的に示したい」と話されました。

 

OSIPPについて感じておられること

北村先生はOSIPPに着任される前、「OSIPP経済系は、計量経済学を用いた実証研究の分野において日本のトップにある」と感じていました。そして、その印象は着任された今でも変わっていません。また、普段からランチミーティングや研究会を通じて、同僚の先生方や院生との交流を深めているそうです。

OSIPP生については、「いろんな国から学生が来ていて、普段から英語を話す環境にあるのはいいことだと思う。ただ、授業中にはもう少し積極的に質問をしてほしいと感じる場面もある」と話されていました。

 

OSIPP生に紹介したい推薦図書3冊

1)梅棹忠夫『文明の生態史観』中公文庫、1998年(初版は1967年)。

2) ユヴァル・ノア・ハラリ『サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福 上・下』(柴田裕之訳)河出書房新社、2016年。

「以上の2冊は世界を巨視的に、そして体系的に捉えられる本です。歴史を学ぶことで、『自分たちがどういう歴史の上に立っているか?』を知ることができます。また、他の国や地域の歴史を知ることは、自国の歴史を相対化し視野を広げることに繋がります。

博士課程のときに聞いた話があります。例えば、鍵を暗闇に落としたとしましょう。多くの人は鍵を探すとき、明かりが照らしている場所のみを探そうとします。しかし、当たり前ですが照らしていない場所にも注目する必要があります。普段あまりスポットライトが当たらない場所に注目するためにも、視野を広めに取っておくことが重要です。」

3)伊藤公一朗『データ分析の力 因果関係に迫る思考法』光文社新書、2017年。

「この本は計量経済学に関する啓蒙書です。基本的なことですが、相関関係と因果関係の違いについて敏感になってほしいと思います。見せ掛けの相関や因果について疑うことが重要です。最近だと、『「原因と結果」の経済学』(ダイヤモンド社、2017年)という本もおすすめですね。」

 

OSIPP生へのメッセージ

「基本的なこととしては、アイデアを普段からメモすることをお勧めします。携帯のメモでかまわないので、普段からメモする癖をつけてほしい。

また、『世の中にどういう問題があり、自分にはどういうアプローチが可能か?』を考えてほしい。社会に求められていることを意識し、それに対して自分なりの方法を考えることが大切だと思います。まずは『ニュースを読むこと』から始めるのがいいと思いますが、常に背後にある構造的な問題を考えるようになってほしいですね。」

 

OSIPP教員紹介:北村 周平

教員プロフィール

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(OSIPP 博士前期課程 韓 光勲)