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ワークショップ『途上国開発とデジタルものづくり』開催

「シリーズ:適正技術」第11回ワークショップ
『途上国開発とデジタルものづくり』
  徳島泰氏(FabLab Bohol ディレクター)

 7月9日、OSIPPの開講科目である「プロジェクト演習(科学技術とソーシャル・エンタープライズ)」に、徳島泰氏(FabLab Boholディレクター)をお招きし、「途上国開発とデジタルものづくり」と題したワークショップが開催されました。

 

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 徳島氏は、2012年にフィリピンのボホール州で「ファブラボ(Fab Lab: Fabrication Laboratory)」を設立され、現在、デザインディレクターとして「デジタルファブリケーション×途上国開発」をテーマに研究と実践に取り組まれています。ファブラボとは、市民が自由に3Dプリンターやレーザーカッターなどの工作機械を使ってものづくりを行い、「自分たちのものを、使う人自身がつくる文化」を醸成することを目指した市民工房です。徳島氏がファブラボを設立した背景には、これからの援助のあり方は、先進国による技術供与のような「与える」援助ではなく、先進国と途上国が対等な立場による「協働」であるべきだと考えたことにあると述べられました。つまり、ものを「与える」のではなく「作り方を教える」ことにより、途上国でイノベーションが起こり、その場が「ファブラボ」であると強調されました。実際に、フィリピンのボホール州では、市民がファブラボを活用した石鹸の型やパッケージを製作し、地元のホテルに石鹸を販売するといったローカルなイノベーションが起こっていると説明されました。こうしたファブラボに類似した活動は先進国においても急速な広がりをみせており、3Dプリンターなどの工作機器を使い、誰でも自由な発想でものづくりをし、そのノウハウを世界中で共有する時代が来ると述べられました。

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 こうした講義の後、本ワークショップでは「先進国による途上国開発というのは、伝統文化や自然環境の破壊につながる軽率な(愚劣な)押しつけ行為ではないか?」というテーマについて、参加した学生らのグループによるディスカッションが行われ、活発な議論が交わされました。

(OSIPP博士前期課程 栗山緋都美)

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