在学生

【院生紹介】梶原瑞希さん(OSIPP博士前期課程)

OSIPP生の就職活動経験インタビュー


今年度の就職活動で、大手素材メーカーから内定を得た、ホーキンス研・M2の梶原瑞希さんにインタビューしました。

 梶原さんは、OSIPP進学以前から国際関係論を専攻しており、その分野でより専門的かつ実践的な知識を得ることを目的に大学院への進学を決めました。一方、その時点では、いわゆる「発展途上国」と呼ばれる国家に自分自身で訪れた経験は無く、進学にあたり自身の問題意識を模索している間も、論文や講義で得た知識のみで研究計画を考えることに対し、どこか机上の空論のような感覚を感じていたそうです。そこで、研究計画書の作成にあたり、実際に自分自身の経験に基づいた問題意識を得ることを目的に、フィリピン・セブ島をフィールドとする開発NGOにおいて、教育支援分野のスタッフとして活動することを決めました。現地滞在中、当初の梶原さんの予想に反し、教育に対する消極的な雰囲気がコミュニティ全体に少なからず存在していること、それに伴い、容易にドロップアウトが可能な環境が存在していることに気づいたそうです。特に貧困層の間で教育に対するモチベーションを見いだすことのできない状況が生じており、フィリピン社会特有の階級格差が固定化した社会構造がその要因の一つとして考えられたといいます。

 これらの問題意識を昇華することを目的にOSIPPへ進学した後は、さらに実務経験を積むことを目的に、大学院での講義を受ける傍ら「国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)」への資金調達を専門に行う「国連UNHCR協会」の契約社員として、主にファンドレイジング業務に携わりました。

 これらの経歴は梶原さんの就職活動に非常に大きな影響を与えたそうです。特に、フィリピンで生活していた際には、交通や上下水等のインフラ整備の遅れ、それによる生活環境の劣悪さを再認識し、大きな衝撃を受けたそうです。その中で、日本におけるあたりまえを、あたりまえに享受することのできない環境におかれた人々が依然多く存在していること、それに伴い、産業・生活基盤整備への大きなニーズが存在していることを実感したといいます。

 この経験から、志望業界としては、インフラ・エネルギー業界をはじめ、自身にとって、広く生活・産業基盤を支えているという実感をもって働くことができると感じられた業界に絞るに至ったそうです。

 就職活動の中で難しいと感じた点については、常に、各志望業界・志望企業に合った自分でいなければならない点とのことでした。例えば、一日で三つの企業の採用担当者との面談をこなさなければいけない日もあり、ある業界を受けた直後に、異なる業界の面談がある場合には、気持ちの切り替えが大変だったそうです。

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  しかしながら、最終的には第一志望の会社の内定をもらうことができて良かったとのことです。OSIPP生に対するアドバイスをうかがったところ、明確な目的がある場合には、自分の志望業界や企業を絞ってフォーカスすべきだとおっしゃいました。就職活動期間は短く、効率的に行動することが重要であると感じたそうです。一方、現時点では自分が何をしたいのかが不明確な人は、まずは少しでも関心のある業界でインターンシップを受け、事業内容・社風などを理解した上で、自分に合った業界を模索すべきであることを強く薦めました。

 

(OSIPP博士前期課程 XIE JINTING)