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ダブル・ディグリー・プログラム 受講生の声

赤松茉依さん(OSIPP博士前期課程)

ーダブル・ディグリー・プログラム受講生ー


2017年9月から約1年間、ダブル・ディグリー・プログラムでデ・ラ・サール大学(フィリピン)に留学した赤松茉依さんにインタビューを行いました。

 

 

■留学の目的

赤松さんはOSIPPで、フィリピンの自然災害リスク軽減管理を研究しています。将来は開発分野の国際機関で働くことを目指しているため、英語論文を執筆して修士号の取得を目指していました。特に、フィリピンは世界的に見ても自然災害のリスクにさらされやすい国であり、世界的に見ても3番目、そしてアジアの中で最も自然災害リスクが高いとされています。「自然災害に脆弱であるとされているフィリピンだからこそ、実践的な開発を研究できるのではないか」と赤松さんは考え、ダブル・ディグリー・プログラムを利用した院留学を決断しました。

 

■デ・ラ・サール大学での授業

デ・ラ・サール大学は3学期制です。赤松さんは1学期に3コマ、2学期に4コマの授業を受講し、3学期にはインターンシップをしました。

1学期目の授業では、リサーチ計画を立てたうえで、論文を実際に書いていくための実践的な授業を受講したそうです。「先生の要求は高かったですが、おかげで現在にまで至る研究計画が固まりました。また、『持続可能な発展』に関する基礎的な授業や、それこそフィリピンの開発に関する授業もありました。授業の中ではグループワークを行うだけではなく、現地でフィールドワークを用いた調査を経験しました。それぞれの授業ではアカデミックペーパーを執筆しました。」

1学期目は比較的順調に進んだそうですが、2学期目には苦労が多かったといいます。

「特に大変だったのが、2学期に受けた”Political Economy”の授業でした。私はそれまでほとんど経済学に触れてきませんでした。前提となる知識がなかったため、論文を何度読んでも分からないという状況に陥ってしまいました。あまりに論文が難しいので、一番多いときで20回くらい読み返したと思います。それでも理解が難しかったです。」

赤松さんは、授業にどうしても着いていけなくなりそうになったとき、先生に助けを求めました。

「先生はとても丁寧に教えてくれ、『全て完璧に理解しなくても大丈夫。議論するときは得意なところを話せばいいよ』とアドバイスをしてくれ、私が理解するまで教えてくれました。それから、意識をしたのは授業での発言は自分が一番初めにすることです。簡単な質問でもいいので初めに発言することで、積極的に授業に参加できました。2カ月くらい経ったところで、授業を受けるのが楽しくなってきました。論文を読むのが楽しくなってしまい、自分で最後まで一気に読み進めてしまいました。それまで馴染みのなかった経済学でしたが、熱心な先生の指導のおかげで『学ぶ喜び』を感じることができたと思います」

 

■国際NGOでのインターン

赤松さんは、5月から6月半ばまで、約1か月半インターンをしました。”World Vision”という、子どもの権利を保護する活動を行っている国際NGOです。赤松さんが担当したのは、ユニセフと合同で開催された防災に関するイベントでした。今年の7月に‘2018 Asian Ministerial Conference on Disaster Risk Reduction‘(アジア防災閣僚会議)という国際会議がモンゴルのウランバートルで行われましたが、そのイベントでフィリピンの子どもたちの声を反映させるための国内イベント’National Consultation with Children and Youth for the 8th AMCDRR‘の準備に携りました。

「私が担当したイベントでは、2015年に制定された仙台防災枠組み2015-2030(the Sendai Framework for Disaster Risk Reduction 2015-2030)を子どもたちに たのち、子どもたちが政策提言を行います。そして、最終的にはその声をモンゴルでの国際会議に反映させることを目的としていました。

フィリピン全土から、7歳から24歳の子供・若者が集まりました。イベントの目的は、防災についての知識習得を促進し、フィリピンの災害リスクについて何が必要なのかを参加者に考えてもらうことです。

2日間のイベントの最後には参加者のステートメントが発表されました。メッセージだけでなく、詩や演劇を用いたものもありましたね。特に、”Be smart, take part and prepare”という言葉が印象的でした。『凄いものを見せてもらった』と感じましたね。

一緒にイベントを運営したユニセフの活動にも強い印象を受けました。団体の規模が大きいだけでなく、ワークショップの方法について多くのアイデアを持っており、さすが国際的な専門機関だなと感じました。」

 

■留学生活を終えて

授業はすべて単位を取得できましたが、やはり留学生活には苦労も多かったようです。「環境に慣れるのに時間がかかり、授業の課題をこなすのにも苦労しました。レベルの高い授業には着いていくのに必死でしたし、何より、一つも単位を落とせないというプレッシャーもありました。」

赤松さんは、留学先でできた友達と指導教員の先生の支えがあり、留学生活を乗り越えることができたといいます。「仲のいいフィリピン人の友達ができたのは心の支えになりました。なんでも話し合える関係で、お互いのことを深く知り合うことができました。

一時期、本当に辛い時期がありましたが、その時に蓮生先生から『あなたはいま宝の山にいるよ』と言われ、前向きになることが出来ました。そして、今自分がフィリピンでかけがえのない経験をしていることに気付きました。また、『しんどかったら帰ってきていいよ』とも声をかけていただきました。そう言われ安心するとともに『自分がちゃんとしないと』と思い、もう少し頑張ろうと思えました。」

最後に、「帰ってきた瞬間、しんどかった経験が全て自信になった」と語っていました。赤松さんはこれから、留学時に得た経験や研究に関する知識を活かし、フィリピンの自然災害リスク軽減管理に関する修士論文執筆を執筆する予定です。

 

(OSIPP博士前期課程 韓 光勲)