在学生

【院生投稿】千坂知世さん(OSIPP博士前期課程)

 私は学部時代にペルシャ語を専攻し、1年間の米国留学中にグローバル・スタディーズを専攻したことから、OSIPP入学当初は一般的な国際交流関連の就職先を希望していました。しかし、修士課程在籍中にイランでの語学研修や資料調査に赴いたこと、熱心な論文指導を受講できたことを契機に、イラン研究の知識が活かせる就職先を志望するようになりました。とはいえ、専門性が活かせる仕事は防衛省や外務省などの国家公務員か、博士号が必要な大学教員や研究者など非常に限られています。そこで、ひとまず専門性に拘らず民間企業で働き経済的に自立した後、公務員試験の勉強をするか、博士号を取りに大学に戻ろうと考え、10月の時点で唯一内定を貰っていた民間企業で働くことで折り合いをつけました。ところが、修士論文の執筆が佳境に入った11月、笹川平和財団中東イスラム基金事業室の研究員の公募を偶然見つけました。研究員ポストは時期尚早かとも思いましたが、卒業の時期的にもこれが最後のチャンスと思い応募してみると、驚くことに採用していただけました。

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 この進路決定にOSIPP進学が寄与した点の一つは、学部時代の専門性を活かす研究指導を受けることができたことです。「理論研究が地域研究より偉いと思ってはいけない。」修士論文の指導を賜った先生から修士1年の時に諭された言葉です。大学院で国際関係論や政治学の基礎を学びはじめ、学部時代に専門としていたイラン研究から離れようとしていた私にとって強く印象に残りました。この言葉を励みに、修士2年間は国際関係論や政治学の理論や方法の基礎を学ぶと同時に、イラン留学中に収集したペルシャ語資料を読み込むなど地域研究にも精力的に取り組みました。この経験が採用された背景の一つにあるのではないかと思います。

 仕事ではイランを含む中東関連の事業に携わりますが、現在進行形の政治や社会的問題を扱うため、修士論文で取り組んできた研究とは異なるタイプの柔軟な思考や臨機応変な対応が求められます。

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また、イラン人の政治家や活動家など政策決定に何等かの影響を及ぼす可能性がある人々と関わる機会もあります。このような経験を積む中で、学術と実社会の同異点を見出し、その要因を探ることができるのではないかと期待しています。今後は6年間大学で学んだ知識や経験を実社会において活用できるよう、これまで以上に努力する所存です。

 

※右上の写真はイランにて、左上は学部生の時に交換留学でUCSB滞在時の写真。