【院生投稿】木村望美さん(OSIPP博士前期課程)
2016.6.13
■大学院進学の理由
幼少時から約10年アフガニスタンやミャンマーの難民キャンプで暮らす子供たちへの物資支援のボランティアに携わっていました。その時から物資支援だけでは彼らの生活は根本的には変わらない、彼らが安心して暮らせるためには経済基盤を整えることが不可欠ではないかと考え続けていました。そのような問題を将来的に解決したく経済学部に進学し、高い専門性を養うため国際機関での勤務経験を持つ先生方がおり、インターンシップを推奨しているOSIPPに入学しました。
■多彩であっという間の2年間
大学院でも経済学科目を履修し、開発経済学や計量経済学を中心に学びました。計量経済学は初めてだったためで慣れるまでに時間を要しましたが、計量の知識と統計ソフトを使えるようになったことが修士論文の作成や、後述する国際機関でのインターンシップで大いに役立ちました。
修士1年時の夏に国際協力機構(JICA)本部・国内事業部にて1ヶ月間インターンシップをさせて頂きました。業務内容は途上国から農業・工業などの技術伝授目的等で受け入れる「研修員受け入れ事業」の各国比較・調査でした。実際に筑波や横浜に出張する機会も頂き、アフリカ諸国から来日している研修員がどのようなプログラムに参加し、学びを得ているのか間近で見させて貰うことが出来ました。日本が行う多様な国際協力における一側面を垣間見ると同時に、日本からの協力を受ける人々の生の声を聴く貴重な機会になりました。
また同年夏に内閣府の国際青年交流事業でラオスに派遣されました。現地では政府高官・現地青年との交流・ホームステイ等を経験しました。また、日本からの資金協力で完成したダム・道路・橋を直接見ることが出来たのは、JICAでのインターンとの繋がりを感じ感慨深かったです。
修士1年の後期試験を終えた2月から約半年間、経済協力開発機構(OECD)のパリ本部・貿易農業局開発課にてインターンシップを行いました。業務内容は関税率のデータ収集・関税表の作成、貿易関係トピックのレポート作成等々多岐に亘りました。特に関税表の作成では大学院にて学んだ統計ソフトが非常に役に立ちました。中でも自分の所属する部門だけでなく他部門の人とも協働が出来たこと、自分が作成した関税表がWTOレポートの一部に組み込まれたことはやりがいを感じました。
■大学院修了後の進路
将来の目標やこれまでの経験を振り返り、「経済基盤を支える仕事」、「世界規模で人の役に立てるように働きたい」と希望した結果、4月からはその両方を可能にするインフラ企業で働きます。これまでのようにデータや分析を通じて間接的に人に影響を与えるのではなく、具体的なモノ・サービスを通じて人の生活を直接支える仕事に就けることに責任と新しい可能性を感じています。
最後に私が2年間で経験したことは、熱心なご指導なご指導を下さった先生方、協力的で高い目標を持つ友人の尽力があってこそ成し得たものだと思っています。その意味でOSIPPは人に恵まれ、やりたいことがあれば実現できる環境が整っている場所です。OSIPPでの多くの出会いに感謝し、自分の目標に向かって邁進して行きたいと思います。
※左上の写真はOECDでのインターンシップ時にオフィスメイトと一緒に、右上は JICAつくばでの研修員との写真。 木村さんは、2016年3月にOSIPP博士前期課程を修了されましたが、 この記事はOSIPP在籍時に投稿されたものです。