Eventsセミナー・シンポジウム

グローバルな公共倫理とソーシャル・イノベーション連続セミナー第1回

社会的摩擦を超え、グローバル社会の一員として、新たな価値を生み出すためのソーシャル・イノベーション
-OSIPP稲盛財団寄附講座主催-

 2016年10月9日、稲盛財団寄附講座主催の講演会「社会的摩擦を超え、グローバル社会の一員として、新たな価値を生み出すためのソーシャル・イノベーション」が開催されました。本講演は格差、移民問題等の社会的摩擦を超え、新たな価値を生み出すために必要なものは何かを考える連続セミナーの一環であり、今回は元国連世界食糧計画職員のジャーナリスト・上野きより氏と、世界5本の指に入るケニアの食品会社ケニア・ナッツ・カンパニーの創業者である佐藤芳之氏をお招きし、最先端の現場の視点からお話頂きました。

 

ON zenntai

 講演会では、援助と自立、価値観の再定義など様々な観点が、具体的事例を交えて提供されました。上野氏は、あるエチオピア人起業家の言葉として、「援助に頼りきることに危機感を感じる」「自分の力で学校に行けること、靴を買えること、そういう力をつけること」を紹介し、聴衆に問題を投げかけました。これらの言葉は、貧富の格差、援助依存と自立、その摩擦の中で生まれた一つの実像といえるものでした。「支配的なやり方ではなく、一緒にやっていく」「手をこすると分かるように、摩擦は温かいもの」。宗教、人種、部族、慣習、多くの違いを認識・受容しつつ、異文化で一大企業を育てた佐藤氏の言葉は、摩擦との関わり方を再定義するものでした。

 

ON sato cafe

 講演会後のコーヒーアワーでは、最後の最後まで講演者の周りに人が絶えず、笑いあり涙ありの温かい真剣トークが繰り広げられていました。「震える気持ち」や「熱い感動」に素直になること、固定観念や片側の価値基準に囚われないことなど、アフリカで起きている地殻変動が伝わるひと時になっていました。

(OSIPP博士前期課程 田中翔)

 

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