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教員紹介:稲倉典子 助教

稲倉典子 助教インタビュー


2019年4月1日付けで、OSIPPの助教として着任された稲倉典子先生にインタビューを行いました。稲倉先生は応用ミクロ計量経済学を専門とされ、家計の消費行動や物価指数の研究を中心に活動を行っています。

現在の研究について簡単にご紹介ください:
ミクロデータを用い、家計の消費行動に関する実証研究を行っています。ミクロデータにもいろいろとありますが、その中の1つに「スキャンデータ」というものがあります。これは、家計に購入商品のバーコードやレシートをスキャンしてもらい、「いつ、どこで、なにを、いくらで購入したか」といった膨大な情報が収集されたものです。例えば、「消費者の年齢や職業が違えば、同じ商品であっても違う価格で購入されている」といったことまで分析することが可能です。これまでの研究から、消費税の増税などのイベントに着目した場合、世帯属性別により消費行動が大きく異なる、といったことを明らかにしてきました。

そのような研究を目指されたきっかけのようなものはありますか:
元々は預金者規律の検証など金融関連のことを研究していましたが、様々な共同研究に携わる機会に恵まれ、物価や家計の消費行動、さらに、消費によってもたらされる健康問題に関心が移っていきました。最近では健康に関する問題を経済学的な観点から実証的に考察しています。栄養成分別の価格指数の推計や、肥満や健康格差が家計属性別にどのように生じているのか研究しています。

OSIPP生に推薦したい研究書を教えてください:
私の研究する分野で言えば、二冊あります。栄養疫学分野の本なので、一見するとOSIPP生とはあまり関わりのないように見えますが、「丹念に積み重ねられてきたデータや実験から社会の問題を慎重に検証する」という点を学ぶ上で、OSIPPの皆さんにとっても大いに有益なものだと思います。

・佐々木敏(2015)『佐々木敏の栄養データはこう読む!』女子栄養大学出版部.
・マイケル・マーモット(2017)『健康格差』日本評論社.

  インタビューは以上です。ご協力ありがとうございました。

(OSIPP博士後期課程 内輪雅史)

助教 稲倉 典子(いなくら のりこ)
学位 博士(社会経済)(筑波大学)
専門分野:応用ミクロ計量経済学
研究テーマ:価格指数、消費、健康
代表的な業績:
“Deposit Insurance and Depositor Discipline: Direct Evidence on Bank Switching Behavior in Japan,” with Satoshi Shimizutani, Applied Economics, 2010, Vol.42, No.26, pp.3401-3415.