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学生から見たOSIPPで学ぶ法律学

OSIPP(国際公共政策研究科)はその名前が示す通り、日本や国際社会が直面している政策課題に取り組む「公共政策のプロフェッショナル」を養成することを目的とする大学院です。その大きな特徴として、政治・経済・法の3つの分野を横断的に学べるカリキュラムが設計されていることが挙げられ、体系的な思考力・分析力を学生は身に着けることが出来ます。今回の記事ではその3つの分野の中でも法学に焦点を当てて、OSIPPで学べる法学全般、並びに個別授業の概略について、紹介させていただきます。

一口に「法学」といっても、法哲学や法史学を含んだ幅広い学問体系一般のことを指しますが、OSIPPで主として学べるのは、実定法学とも称される「法解釈学」であり、裁判や行政実務の際に適用される実定法の研究が主に行われています。特に、国際法という国家間の関係を規律する法律をご専門とする先生が多く在籍されており、所属学生の研究課題の多くもそうした分野に集中しています。(小難しい言葉が沢山出てきましたが、要は、現在の国際社会で国や個人によって守られている(はず)の法律を学び、研究することが出来ます。)

個人的な意見にはなりますが、OSIPPでの法学の授業は、①法学全般や国際法全般について学べる基礎的な授業、②特定の法分野を専門的に学べる授業、③裁判判例の研究を行う授業の3種類に分けることが出来ると思っています。①の授業は、今まで法学や国際法を専門的には学んだことがない学生を対象としており、講義形式で基礎的な知識を幅広くレクチャーしていただけます。②の授業は、先生の専門領域についての講義並びに裁判判例の講釈、学生からの発表を合わせた複合的な授業となっており、自身の研究や興味にあわせて授業を選ぶことが出来ます。③の授業は、事前に配布された裁判判例を研究・議論しあう授業であり、英語の判例の読み方という国際法を学ぶ際に必須の能力を身に着けることが出来ます。これら授業の内、特に①と③の授業は学術論文を書く際に必須の知識を身に着けることが出来る授業ですので、法学を専門に研究したいと考えている学生さんにはぜひ受講していただきたいです。②では、人権法や武力紛争法、環境法といった国際法分野だけでなく、EU法などの地域法や国際取引法、法社会学等の幅広い分野の授業が提供されています。指導教員の先生とも相談しつつ、自身の研究分野に限定せずに、様々な分野に触れてみてください。専門分野外での知識や、多数の法分野を俯瞰して、総合的に課題を分析できる力は論文執筆の際にも大いに役立つはずです。

また、OSIPPで多くの学生が取り組んでいる今日的な国際課題と国際法をはじめとする法律は切っても切れない関係にあります。ある国の行為の裏にはルール(法律)があり、国際社会はそのルールに時に従ったり、反発したりしながら動いています。ルールそのものも国際社会にあわせて徐々に変わっており、こうしたルールを研究することは、法学だけでなく、経済学・政治学を学ぶ際も大変有用です。一般的にとっつきにくく、地味な内容だと思われることも多い法学ですが、噛めば噛むほど味の出るスルメのように深淵で広範な学びがいのある学問分野です。これまで法律を学んできたこともない人も、OSIPPへの入学を機会にぜひ積極的に学んでみてください。

 

(OSIPP博士前期課程 辻川真衣)