著書・論文

11月の研究業績

OSIPP基幹講座教員の11月の研究業績をご紹介します。

・大久保邦彦 先生
・二杉健斗 先生

 

 

 

大久保邦彦(著書)

「共同不法行為論の開拓線」島村健・大久保邦彦・原島良成・筑紫圭一・清水晶紀 編『環境法の開拓線』
第一法規株式会社(2023年11月)https://www.daiichihoki.co.jp/store/products/detail/104778.html

概要:共同不法行為論は、公害・じん肺・アスベスト等に関する紛争に対処するために実務上、展開を重ねてきたが、理論的には混迷状態にある。本稿は、「ドグマーティッシュな基礎づけ」を重視するオーストリア法を参照して、共同不法行為論・因果関係論の基礎にある法原理を探求することを通して、日本法に対する示唆を得ることを目的とする。「不法行為の一般原則」によると、人は、自己の行為と因果関係が証明された結果についてのみ責任を負うと言われるが、制定法の評価によると、因果関係が不確実・不十分な場合にも責任が肯定されうる。この場合、オーストリアでは、動的体系論という方法論に依拠して、因果関係の薄弱さを重い責任非難(故意)や高度の相当性・具体的危険性によって補完することが説かれている。かかる構想は、法原理的基礎づけに関する議論が低調な日本の学説にとって、参照価値が高いと思われる。

 

二杉健斗(その他の記事)

「学界回顧―国際法」越智萌・岡田陽平との共著『法律時報』95巻13号(2023年)197-206頁
https://www.nippyo.co.jp/shop/magazine/9163.html

概要:『法律時報』の「学界回顧」は、法学分野の1年間の研究動向をレビューする記事であり、著者らの担当は2年目である。昨年度に引き続き、国際法(学)の有用性に対する疑問への応答が求められているとの問題意識から「実学としての国際法学」の動向を記述するべく、当該研究によりいかなる規範的・実践的問題が解決されたのかに特に注目して、日本の国際法学の研究を体系的にマッピングすることを試みている。特に露宇戦争に関しては、項目を別立てしてまとめている。