Events研究科行事

創立20周年記念講演会

11月7日、OSIPP創立20周年を記念する講演会が大阪大学会館にて開催された。修了生として登壇した末村祐子氏は、2008年にOSIPP博士後期課程を修了後、大学教員などを経て現在は復興庁岩手復興局復興推進官として東日本大震災からの復興の最前線に立っている。「東日本大震災からの復興の現状と課題」と題した末村氏の講演では、岩手県大槌町における2年間の復興支援に携わった経験を基に、災害公営住宅の竣工から完成までの経過が多くの写真と実話を交えて説明され、またOSIPPでの学びが現場にどう生かされているのかが語られた。

松林哲也准教授は「社会問題としての自殺を考える」と題し、日経・経済図書文化賞を受賞した自著『自殺のない社会へ―経済学・政治学からのエビデンスに基づくアプローチ』(有斐閣、2013年)の内容を基に、なぜ自殺が起こるのか、どうすれば自殺を減らすことができるのかという問いに対し、後追い自殺に関して興味深いデータと共に見解を示した。

「ドーナッツと自殺と法と公共政策」と題した大久保邦彦教授の講演では、自殺についての日独の諸学説の見解を紹介した上で、自殺者本人の意思を尊重するのか、もしくは生命を尊重するのかというジレンマの存在を聴衆に訴えかけた。2時間にわたって行われた熱のこもった3人の講演に、約100人の聴衆から惜しみない拍手が送られた。

(OSIPP博士前期課程 中田 淳、木村望美)