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【研究紹介:和仁健太郎准教授】国際社会における法・力・平和―国際法における戦争の地位

2019年2月、OSIPP News編集員の塚越さんが、和仁准教授に現在の研究内容に関するインタビューを行いました。


現在取り組んでおられる研究についてお聞かせください:
国際法における戦争の地位、および武力紛争法(戦時国際法)の研究をおこなっています。かつて戦時国際法を構成していた諸制度が、戦争の違法化された現代国際法において妥当するか(法として通用するか)、妥当するとすればその根拠は何か。武力紛争法のうち、中立法、海上捕獲法、占領法などを素材に前述の問題を研究しています。

なぜこの研究に取り組むことになったのですか:
大学院修士課程の1年目に、石本泰雄教授の『国際法の構造転換』(有信堂、1998年)を読んで面白かったので。修士論文と博士論文で取り組んだ中立法は、今ではあまり研究されないテーマなのですが、個人的に、流行のテーマよりも、皆がやらないテーマを研究するのが好きであることも要因でした。

この研究分野の魅力や面白いところ、最新の研究動向を教えてください:
国際法は、第一次大戦の前後を境に「構造転換」したと言われています。具体的には、第一次大戦前の国際法では法(権利)を実現したり、法を変更したりするための最後の手段として容認されていた戦争が、第一次大戦後の国際法では違法とされています(戦争の法的地位が第一次大戦の前と後で180度異なる)。
法体系の「構造」それ自体が「転換」したというような分野は、法学の中でも国際法以外にはなく、「構造転換」という大きな問題と関連付けて法解釈を論じられるところが面白い点です。

大学院でこの分野を研究していくためには、どういった勉強をしておく必要があると思われますか:
国際法研究で使う資料や論文のほとんどは英語(およびフランス語)で書かれています。英語の資料・論文を読めないと研究にならないので、英語で学術論文や資料を読む能力は不可欠です。
また、国際法も法学の一分野なので、法学の諸概念や法学的な物の考え方は、身に着ける必要があります。具体的には、法学の基本である民法を一通り勉強してほしい(国際法は、歴史的に、多くの概念を民法から借用してきた)。その他に、憲法、行政法、民事訴訟法などもできれば。

最後に、先生の指導スタイルを教えてください:
良い論文を書くためには、何が良い論文で、何が悪い論文なのか、それを判断するためのきちんとした基準(「ものさし」)が必要です。その基準を身につけるためには、人の論文や報告について、それが良いか悪いか、なぜ良い(悪い)と思うのかを、「自分のことは棚に上げて」、遠慮なしに皆で言い合うことが必要となります。そのために、誰かの論文を取り上げて、それが良いか悪いかを遠慮なしに品評し合うゼミを開催しています。

 

(OSIPP博士前期課程 塚越和)


准教授 和仁健太郎
専門分野:国際法
学位:博士(学術)(東京大学)
代表的な業績:
Kentaro Wani, Neutrality in International Law: From the Sixteenth Century to 1945 (London: Routledge, 2017)
和仁健太郎『伝統的中立制度の法的性格:戦争に巻き込まれない権利とその条件』(東京大学出版会、2010年)
参画している研究プロジェクト:「国際法における『戦争状態』理論の再検討」(科学研究費補助金(基盤研究(C))(研究代表者)
大阪大学研究者総覧(和仁健太郎)