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2月の研究業績

OSIPP基幹講座教員の2月の研究業績をご紹介します。

・中嶋啓雄先生

・赤井伸郎先生

・室岡健志先生

 

 

中嶋啓雄(研究ノート)
佐々木豊・中嶋啓雄、研究ノート「第二次世界大戦後の米国における社会科学研究促進活動とその遺産――米国社会科学研究協議会によって創設された専門委員会の活動に着目して」
Ignis(京都外国語大学)第1巻(2021年12月)149–176頁(査読有)

概要:戦後、社会科学研究評議会(Social Science Research Council〔SSRC〕)が設立した四つの専門委員会(政治行動委員会、比較政治委員会、国家安全保障政策研究委員会、経済成長委員会)の1950年代から60年代にかけての活動を、ロックフェラー・アーカイブ・センター所蔵のSSRC文書やコロンビア大学図書館所蔵のカーネギー財団文書を活用して、実証的に検討している。各専門委員会に加わった社会科学者たちは、学際的な方法論を採用することによって、それぞれの専門分野が「科学的」品質を獲得することを目標とした。そうした学術的な試みは当初、目指された一般的な命題や理論を構築するという目的を達したとは必ずしも言えないが、その成果は伝統的な学問区分を突き崩す上で大きな役割を果たし、社会科学の各分野において、あるいは各分野を超えて、新たな学術的問いへの道を切り開いた。

 

赤井伸郎 (その他の記事)
「新たな大学資金確保への挑戦」『十字路』日本経済新聞 2022年1月27日掲載
http://akainobuo.starfree.jp/jyu-ji-ro.html

概要:国立大学では、2022年度より、第4期中期計画期間に入る。世界トップ研究大学の実現に向け、2つの高等教育資金確保に向けた政策が本格化する。大学ファンドと大学債(国立大学法人債)である。ま ず、大学ファンドは、運用益を支援する仕組みである。成果達成に向け、これまでの研究助成とは異なるレベルでの強い意識が必要である。一方で、大学債は、 将来にわたる効率的効果的な支出をベースにした財務運営戦略の設計が不可欠となろう。新たな大学資金確保の挑戦を価値あるものにするため、国には、自律的 な大学運営の確保および、世界標準の評価に基づく資金配分など、研究の質向上につながるガバナンスを期待したい。

 

赤井伸郎 (その他の記事)
「今期も苦戦の「JALとANA」、コロナ後に向けた行政支援の在り方とは」ダイヤモンドオンライン
2022年2月2日掲載  https://diamond.jp/articles/-/294870

概要:新型コロナウイルスワクチンの普及後も国際移動は制限され、JAL、ANAをはじめとする航空会社および空港は苦境脱却への模索が続いている。行政の支援はどのように継続すべきなのか。これまでの減免政策の経緯も踏まえ、持続可能な制度設計に向けたガバナンスの重要性を提示する。

 

赤井伸郎 (その他の記事)
「コロナで大幅赤字の「日本の空港」、危機脱却のための行政支援の在り方とは」ダイヤモンドオンライン 2022年2月2日掲載  https://diamond.jp/articles/-/294889

概要:近年、新しい経営手法として、ターミナルビルと空港運営を一括で民間が引き受ける「コンセッション」と呼ばれる手法を取り入れる空港が増加してきている。新型コロナウイルスの感染拡大で苦境脱却を模索する中、行政の支援はどのように継続すればいいのだろうか。国の的確な支援によってこの危機を乗り越え、コンセッションで新たな運営の知恵を得た日本の空港が、再び、日本を支えるインフラとして、日本を元気にする場所になることに期待したい。

 

室岡健志(その他の記事)
行動経済学 人の心理を組み入れた理論 連載第15回 その他の行動経済学の理論
『経済セミナー』No.724 2022年2・3月号(3月発行)

概要:最終回となる今回は、これまでの連載でカバーしていない行動経済学の理論について、それぞれ簡潔に紹介する。第2節では、限定合理的な確率計算の理論を紹介する。第3節では、フレーミング効果とそれに関連した理論を紹介する。第4節では、自信過剰に関する理論を紹介する。第5節では、限定合理的な戦略的思考という意味での、行動ゲーム理論について紹介する。