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松野明久教授 最終講義
「冷戦期政治暴力の研究-インドネシアと東ティモールを事例として」

松野明久教授 最終講義


2022年2月22日、OSIPP教授松野明久先生の最終講義「冷戦期政治暴力の研究-インドネシアと東ティモールを事例として」がオンラインで開催された。本講義には教職員や学生に加えて卒業生や松野先生と交流がある人など、国内外から140人を超える人々が参加した。

 

 

 

講義は、司会を務めるOSIPP教授中嶋啓雄先生による松野先生の業績紹介から始まった。まず講義の前半では、以前取り組んでいた言語に関する研究から、現在の研究テーマである「インドネシア・東ティモールでの虐殺行為」への移行の経緯を話した。現在の研究内容については、実際にどのようなことが起こっていたのかを、現地で調査活動を行った際に撮影した写真を用いて説明した。講義の後半では、冷戦期における政治暴力(Politicide)について具体的な事例を列挙して説明しつつ、その中で行われた大量殺害や破壊に関する一連の流れを、数段階に分けてより構造的に示した。

講義後には参加者による質問の時間が取られ、参加者は松野先生の研究や考えについて質問した。松野先生はそれら1つ1つに対し丁寧に答え、有意義な時間となった。質疑応答の後にはフリートークの時間が設けられ、参加者たちは名残を惜しみつつ松野先生との会話を楽しんだ。

 

筆者は本講義では、まずインドネシアや東ティモールで行われた残虐行為の数々に衝撃を受けた。それと同時に、なぜこのようなことが何度も起こってしまうのか疑問に感じた。講義を通じて、それらには複雑な要因が絡み合っていることを感じたが、その要因を明らかにするには更に情報が必要になるだろうと思った。筆者にとっては詳しくない分野だが、今後は紛争や暴力についてもう少し関心を向けようと思う機会となった。

 

(OSIPP博士前期課程1年 千馬あさひ)

写真説明: アルゼンチンのある大学の法学部を訪れ、軍事政権時代の残虐行為の真相究明を、学者・法律家・報道関係者・人権団体・被害者団体が連携して行っていることについて話を聞いた。お土産にもらった大きな写真は、子どもたちを誘拐・殺害された「五月広場の母たち」が裁判で勝ち、その喜ぶ様子を写したものだった。