2022.4.5
OSIPP基幹講座教員の3月の研究業績をご紹介します。
・須永美穂 先生
・赤井伸郎 先生
・和仁健太郎 先生
Miho Sunaga coauthored with Koichi Futagami(論文)
“Risk Aversion and Longevity in an Overlapping Generations Model” Journal of Macroeconomics(Accepted in February 2022)(査読有)https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0164070422000179
Abstract:We analyze how increasing longevity affects economic development based on differences in the risk attitudes of young and old individuals. We construct an overlapping generations model given an economy grows with the help of the capital and intermediate goods produced by individual activities. The outcomes of these activities are stochastically determined. We analytically and numerically show that increasing longevity hinders capital accumulation in the economy when old individuals are more risk-averse than young individuals. Thus, if old individuals are less willing to take risks in the economy, population aging will consequently slow economic growth.
赤井伸郎 coauthored with 小川顕正(論文)
「GoToトラベル事業は地域間移動を促したのか?-高速道路交通量増減に着目した実証分析-」
『交通学研究』第65号(2022.3)日本交通学会 59-66頁(査読有)
概要:本研究は、高速道路交通量に着目してGoToトラベルの効果を検証したものである。2020年4月11日から2021年1月31日までの日別データを用いた実証分析により、小型車の交通量がGoToトラベルの影響を受けて増えたこと、平日よりも休日の効果が大きいこと、高速道路周遊パスをGoToトラベルの割引と対象としたことが効果を大きくしていることのほか、大都市をつなぐ大動脈(東名や名神)から大都市とその周辺から地方へと延びる高速道路上の地点において相対的に大きな効果が見られた。結果として、GoToトラベルは、高速道路を使った旅行需要を増大させる効果があったと言えよう。
赤井伸郎 coauthored with 沓澤隆司・竹本亨(論文)
「都市のコンパクト度と住民の移動距離や移動時間に関する分析」『交通学研究』第65号(2022.3)
日本交通学会 75-82頁(査読有)
概要:本稿は、都市(=市)の中心部に人口が集中しているコンパクトシティと移動距離、手段ごとの移動時間との関係を検証する。このため、都市のコンパクト度の指標である「基準化された標準距離(NSD)」と移動距離、歩行、鉄道、バスなどの公共交通や自動車による手段ごとの移動時間との関係について、年齢、性別、職業や就業形態の属性別の関係も含めて明らかにするものである 。
和仁健太郎(論文)
「戦後補償問題における『国際法上の』個人請求権の意義」『国際公共政策研究』26巻2号(2022年)
135-148頁 http://hdl.handle.net/11094/86852
概要:いわゆる戦後補償裁判では、請求の根拠として、国内法上の請求権(民法、国家賠償法などに基づくもの)と並んで、国際法上の請求権が援用されることがある。国際法上の個人請求権を定めた(と主張される)ものとしてよく援用されるのが、1907年ハーグ陸戦条約3条である。同条に関しては、加害交戦国の「誰に対する」賠償責任を定めたものなのか(被害者個人か、その個人の国籍国か)という問題に議論が集中してきた。しかし、仮にハーグ陸戦条約3条が被害者個人に対する賠償責任(すなわち個人の賠償請求権)を定めたものだと解釈できたとして、個人がハーグ陸戦条約という「条約に基づいて」請求権をもつことの「意味」ないし「効果」については、これまで十分に詰めた議論がされてこなかった。そこで、本稿では、戦後補償裁判において援用されることのある「国際法上の個人請求権」の性質について検討する。
※論文に関しては、特に記載のないものは査読のない論文です。