研究科行事

2022年度口頭報告審査会および博士論文進捗状況報告会

2022年度口頭報告審査会および博士論文進捗状況報告会


2022年12月6~8日、博士前期課程(修士)・博士後期課程(博士)論文の「2022年度口頭報告審査会および博士論文進捗状況報告会」がオンライン形式で開催された。
(写真:博士前期課程 千馬あさひさん発表時の画像)

 

 

口頭報告審査会では、修士号申請者35人と博士号申請者10人が発表し、博士論文進捗状況報告会では、来年度の博士号取得を目指す学生が日々の研究の成果について報告した。 博士前期課程の学生であれば1人あたり20分、博士後期課程の学生には40分が与えられ、その時間の中で発表と質疑応答に臨んだ。

2022年度の修士号申請者の一人である千馬あさひさんは「地方選挙の頻度が参院選の投票率に与える影響」と題した論文を発表した。千馬さんは、日本では地方選挙の頻度が地方自治体によって違うことに着目し、国政選挙の実施前の期間において、3年に一度の参議院選挙の間にある地方選挙の頻度が通常より多くなると「投票疲れ(選挙の回数が増えると有権者が選挙に行かなくなる現象)」によって、その後の参議院選挙の投票率が低下するという仮説を立て、定量的に分析した。

千馬さんからの約10分のプレゼンテーションのあと、副査を務める大阪大学法学研究科の濱本真輔准教授からは「選挙の回数だけでなく、個々の選挙の内容を考慮に入れることによってデータ分析の結果も変わるのではないか」というコメントがあり、OSIPPの髙田陽奈子准教授からは「海外の既存研究を日本のケースに当てはめて分析することも千馬さんの論文の貢献の一つとして挙げていたが、日本のケースに当てはめる意義は何なのか」という鋭い質問があった。千馬さんは、副査の先生方からの質問とコメントに対し、丁寧に返答していた。最後に、主査であるOSIPPの松林哲也教授は質疑応答の内容を踏まえ「研究目的に沿った“研究の位置づけ”を明確にして、研究の意義を効果的に書くことで、その研究の重要性がより伝わる論文になるのではないか 」と締めくくった。

 

今回の発表では、政治学や法学など様々な分野の教員からの視点でコメントが寄せられていたので、多様な分野の教員が所属しているOSIPPならではの口頭報告審査会であると感じた。修士号と博士号の申請者は、1月の論文の最終提出に向けて論文執筆最終段階に入る。口頭報告審査会終了後、千馬さんは「自分が見落としていた重要な点を数多く指摘していただいたので、論文の最終提出に向けてさらに改善させていきたい」と語った。

(法学部国際公共政策学科 池内里桜)