著書・論文

4月の研究業績

OSIPP基幹講座教員の4月の研究業績をご紹介します。

・髙田陽奈子 先生

・室岡健志 先生

・大久保邦彦 先生  

・片桐梓 先生 

 

Hinako Takata coauthored with Shotaro Hamamoto(著書)

“Human Rights, Treaty Bodies, General Comments/Recommendations” (2023) in Anne Peters (ed.),  Max Planck Encyclopedias of International Law(Oxford University Press, Online edition).
(査読有)

概要:国際公法のオンライン版百科事典であるMax Planck Encyclopedias of International Lawに掲載された、査読済の記事です。国連の人権条約機関が発行する「一般的意見」について、その歴史的沿革や、法的根拠、1990年代以降の性質の変化、内容の特徴、採択過程、法的価値や権威、そして人権条約の実効性や正統性との関連、といった観点から包括的に分析し論じたものです。

 

室岡健志(著書)

『行動経済学』日本評論社(2023年3月)

概要:1) 行動経済学の理論と伝統的な経済学の理論のつながり、その背後にあるエビデンスを明確に示しながら解説。2) 行動経済学の理論が、経済学のさまざまな分野でどのように応用されているかを具体的に解説。たとえば、貯蓄行動、購買行動、求職活動、労働契約、教育、財政、医療、健康などへの応用例を紹介。3) 行動経済学に関連する政策、データ収集、実験などの実施を考えるための理論な基盤を提供。たとえば、消費者保護政策、競争政策、課税政策、年金政策などを考える。

 

大久保邦彦(判例評釈)

①「賃借権の時効取得」別冊Jurist『民法判例百選I総則・物権[第9版]』88頁

➁「運用利益の返還義務」別冊Jurist『民法判例百選Ⅱ債権[第9版]』138頁

③「不法行為に基づく損害賠償債務の遅延損害金を民法405条の適用または類推適用により元本に組み入れることの可否―約定利息・法定利息・遅延利息の法的性質論を兼ねて(最三判令4・1・18)」『判例時報 2545号』108頁

判決要旨:甲所有の土地を買い受けてその所有権を取得したと称する乙から右土地を賃借した丙が、右賃貸借契約に基づいて平穏公然に目的土地の占有を継続し、乙に対し賃料を支払っているなど判示の事情のもとにおいては、丙は、民法一六三条の時効期間の経過により、甲に対して右土地の賃借権を時効取得することができる。
判決要旨:1.銀行業者が不当利得した金銭を利用して得た運用利益については、民法第189条第1項の類推適用により同人に右利益の収取権が認められる余地はない。
2.不当利得された財産に受益者の行為が加わることによって得られた収益については、社会観念上、受益者の行為の介入がなくても、損失者が右財産から当然取得したであろうと考えられる範囲において損失があるものと解すべきであり、その範囲の収益が現存するかぎり、民法第703条により返還されるべきである。
3.第1項の運用利益が商事法定利率による利息相当額(臨時金利調整法所定の1箇年契約の定期預金の利率の制限内)であり損失者が商人であるときは、社会観念上、受益者の行為の介入がなくても、損失者が不当利得された財産から当然取得したであろうと考えられる収益の範囲内にあるものと認められるから、受益者は、善意のときであっても、これが返還義務を免れない。
判決要旨:不法行為に基づく損害賠償債務の遅延損害金は、民法405条の適用又は類推適用により元本に組み入れることはできない。

 

片桐 梓(その他の記事)

「政府は国内世論を重視して外交政策を判断しているのか?長年の研究を経て未だに「難問」」
『WEBアステイオン』(2023年4月19日掲載)