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第8回大阪大学豊中地区研究交流会 -知の共創-

OSIPPからは前川和歌子先生、二羽秀和先生が発表


2023年12月8日、第8回大阪大学豊中地区研究交流会「知の共創」が大阪大学基礎工学国際棟で開催された。このイベントは、豊中キャンパスに在籍する研究者・学生が文系理系問わず研究成果を報告し、情報交換をする場である。
(写真:前川和歌子先生)

 

当日の参加者は教職員、学生だけでなく企業関係者や自治体関係者、一般市民にまで開かれており、約150人が研究や所属の垣根を越えて交流した。

約4時間半にわたり開催された今回の交流会は、西尾章治郎総長による挨拶から始まり、続いてポスター発表形式での研究発表や情報交換会が行われた。OSIPPからは、前川和歌子准教授、二羽秀和助教が発表した。参加者は、興味のあるポスター発表を自由に見るだけでなく、発表者への質問や感想を通し、交流を深めていた。

前川先生は、“An Agent-Based Model for UN Peacekeeping Operations and Natural Disaster Management during Civil War”というタイトルで、紛争地域で自然災害が発生した際に、国連の平和維持活動が通常の巡回活動から災害対応に転換することで、紛争解決が妨げられる可能性がある一方で、災害対応が市民の物理的及び心理的な苦難を緩和することによって暴力発生のダイナミクスに与える影響について発表した。会場で発表を聞いていた理学系の教員からは、理論的モデルに関するより詳細な質問が出ていた。

二羽秀和先生

二羽先生は、「量的緩和政策のマクロ経済効果に関する分析: 財政金融政策の相互作用の視点から」というタイトルで、量的質的緩和政策の結果として日本銀行のバランスシートに発生する損失に対する政府の対応及び、その政府の対応が物価に与える影響について発表した。たとえば2%利上げを行った場合、日銀の出費は9兆円を超える。マクロ経済の「物価水準は政府の長期的な収支バランスが維持されるように決まる」という「物価水準の財政理論」を用いながら、日銀が利上げを行うことによる損失が政府負担となる場合と、日銀自身の負担となる場合の物価水準への影響について比較した。また、量的緩和政策への政府の対応は政治的な問題にとどまらず、それが日本経済に与える効果を考える上で重要な論点となることを強調した。

今年の交流会では、分野の垣根を越え43件もの多様な研究が発表された。研究者や企業関係者だけでなく、市民の参加も多く、高校生や小学生など若い世代の参加者も見られた。西尾総長の挨拶にあったように、社会課題が複雑化・高度化していく中で、知を結集し連携させていくことは、益々重要となっている。研究の分野はもちろん、企業や自治体そして市民といった立場を越えて交流するこのイベントが、これまでにない化学反応を起こし、新しい価値を創出するきっかけとなることを期待したい。

(法学部国際公共政策学科 山本葉月)