在学生

指導教員の選び方 vol.1(OSIPP法政系)

私達はこんな感じで指導教員を選びました。


「研究室や指導教員をどのように選んだらいいのだろう?」と疑問に思われている方はいませんか。今回は現役のOSIPP生にどのような基準で所属する研究室を決めたのかなどを聞きました。研究室を決める上でのアドバイスを紹介します。
(写真:今回参加してくれた安藤さん(左)と石田さん(右))

 

第1弾では、OSIPPで法学・政治学系(法政系)の教員を指導教員とする博士前期課程2年次のみなさんに、所属する研究室を選んだ理由や、研究室の活動内容を聞きました。法政系での研究は質的研究と量的研究に分かれます。質的研究は文献やインタビューなどの数値化できないデータを使った研究で、量的研究は統計など数値化されたデータを使った研究です。このような研究アプローチや関心のある分野が異なる5人に集まっていただきました。

参加者

自身の研究関心

指導教員(専門分野)

Y.A.さん

内閣支持率が首相・外相による外国訪問実施に与える影響(量的研究)

片桐梓 准教授

(国際関係論・計量政治学)

K.I.さん

冷戦期における太平洋安全保障条約の歴史的変遷(質的研究)

中嶋啓雄 教授

(アメリカ政治外交史・国際関係史)

N.K.さん

性別と民族的所属は重要か?副大統領候補としてのカマラ・ハリスに関するアメリカの報道傾向(質的研究)

Virgil Hawkins 教授

(国際政治学・メディア学)

Y.Oさん

多文化共生、サードプレイス(質的研究)

河村倫哉 准教授

(社会学・民族・エスニシティ・市民社会論)

T.S.さん

旗国主義について(質的研究)

和仁健太郎 教授(国際法)

 

指導教員を選んだ理由を教えてください。

Y.O.さん(河村研):先生の研究内容に興味を持ち、先生のもとで学びながら自身の研究内容を深めたかったので河村先生の研究室を選びました。

N.K.さん(Hawkins研):メディア研究がしたかったので、ホーキンス先生の研究室を選びました。

T.S.さん(和仁研):先生の論文に対するスタンスが好きだったという理由で所属する研究室を選びました。

K.I.さん(中嶋研):先生が研究にあたって歴史的アプローチを取っていて、それに魅力を感じたためこの研究室を選びました。

Y.A.さん(片桐研):僕がもともと大学院で国際関係論を専攻したいと考えていたところ、学部4年次の時のゼミの先生にこの研究室をすすめられました。 学部生時代は質的研究をしており、量的研究に関しては全くの素人でしたが、片桐先生の研究内容を見た時に、データを使って数字としてエビデンスを提示するのが面白そうだと思ったこともこの研究室を選んだきっかけの一つです。

 

指導教員の指導スタイルやゼミの様子を教えてください。

Y.A. さん(片桐研):個人指導で、疑問点があれば先生に質問する形態です。因みに、私は実証研究をしているのですが、修士論文を書くために必要なデータ分析スキルは授業を通して身につけました。

Y.O. さん(河村研):対面でのゼミで、多文化主義やナショナリズム、民族問題に関する内容を勉強されている学生が所属しています。留学生が多いため、ゼミでは英語を使うことが多いです。

N.K. さん(Hawkins研):ゼミは月に1回対面で行われ、研究についてフィードバックが欲しい人が発表をし、それについてみんなで議論したり、発表者にアドバイスしたりします。固い雰囲気ではなく、気軽に発表ができる雰囲気です。英語の方が得意な学生が多いので、ゼミは英語で行われています。個人指導の際は英語もしくは日本語で行ってくれます。毎年5月ごろにハイキングが企画されています。今年は能勢へ行きました!あまり難しいハイキングコースではないので、初心者でも大丈夫です。同じ研究室のメンバーや先生と交流を深められる楽しい企画です。

K.I. さん(中嶋研):中嶋研究室でも月に1回対面ゼミがあり、全学年の学生が集まり研究発表を行います。アメリカという共通の関心のもと、それぞれの学生が様々な研究を行っており、いろんな人からのフィードバックをもらえます。留学生や他の研究室の学生、ポスドクなどが参加することもあります。ゼミ以外の活動については、自ら公文書館に行って、資料を探し研究を進めることもあります。

T.S. さん(和仁研):対面またはオンラインでゼミがあり、論文を評価するための物差しを体得するために論文の輪読をしたり、自分の論文の進捗報告をしたり、フランス語やドイツ語の学習をしたりもします。

 

研究室を決めるまでに行ったことはありますか?

Y.A. さん(片桐研):国際関係論や国際政治についての基本的な復習をしました。

N.K. さん(Hawkins研):入試前から先生に連絡を取り、取り組みたい研究について相談をしました。

K.I. さん(中嶋研):研究室に入る前に一度先生と会って、研究室の雰囲気が自分に合うかをチェックしました。

Y.O. さん(河村研): 私も研究室の雰囲気を知るために研究室訪問をしました。

注意:ゼミ見学や研究室訪問については、それぞれの教員によってルールが違います。

 

研究室や指導教員を選ぶ際に考慮するべき点はありますか?

Y.A. さん(片桐研):先生の研究内容や手法を見て、直感的にでもいいので「面白そうだ」と感じるかどうかが重要かなと思います。

K.I. さん(中嶋研):先生と自分の研究のアプローチが合うかどうかが1番大切なのではないでしょうか。例えば、Y.A.さんが行う量的研究と私が行う質的研究ではアプローチが大きく違います。私は、質的研究の中でも歴史的な資料を集めて考察するような歴史的アプローチから研究をしたかったので、それを基準に研究室を決めました。

Y.O. さん(河村研):河村先生は社会学の先生ですが、OSSIPの先生は政治学や経済学、法学を専門とされている方が多いため、社会学に関する授業は少ないです。社会学系を中心に学びたい場合は人間科学研究科(吹田キャンパス)の方が授業が豊富なため、そちらと比較して研究科・研究室を選ぶと良いと思います。

N.K. さん(Hawkins研):関心を持っている研究の分野がある程度合致しているかどうかはもちろんですが、先生との相性も考慮すべきだと思います。ホーキンス先生はフレンドリーで話しやすく、質問や疑問点があればなんでも親切に答えてくださいます。

 

OSIPPの法政系での研究を検討される方にメッセージをお願いします。

K.I. さん(中嶋研): 私は歴史的アプローチで研究を進めていますが、さまざまな社会問題の背景には必ず歴史があるので、歴史の理解を深められると、今起こっている事象に対する公共政策を考える糧になるところが面白いです!

Y.A.さん (片桐研):私は学部の時に受けた政治思想史の授業が面白かったことから、もう少し勉強をしてみたいと思い、進学しました。研究がしたいという気持ちがあればぜひOSIPPに進学してください!

 

研究室紹介ではすべての研究室の活動紹介はできませんが、どのような視点で研究室を選ぶのがよいかのヒントになる情報を提供できればと思っています。第二弾では経済学系の指導教員を持つ学生による対談を掲載します。分野は違っても研究室選びに関して共通する部分が多くあるので、ぜひご覧ください!

(OSIPP博士前期課程 池内里桜)

今回参加してくれた安藤さん(左)と石田さん(右)