在学生

指導教員の選び方 vol.2(OSIPP経済系)

私達はこんな感じで指導教員を選びました。


研究室や指導教員の選び方紹介の第2弾として、OSIPP経済系の教員を指導教員としているOSIPP生5人から話を聞きました。研究室を選んだ理由や活動内容だけでなく、OSIPPで学ぶ経済学や修了後の進路についても話を聞いています。(写真:今回参加してくれた澤村さん(左)、渥美さん、中野さん(右))

 

経済系での研究手法は、主に理論研究と実証研究です。理論研究とは、経済現象や行動の基本的な原則を分析するために数学的な理論モデルを構築することにより事象の説明をする研究で、実証研究は実際の数値データを用いて現象を分析し、理論の検証や政策評価を行う研究です。OSIPPは実証研究に力を入れていることもあり、今回参加してくれた5人はその実証研究を行っている学生です。

参加者

自身の研究関心

指導教員(専門分野)

C.S.さん

観光需要喚起策が日本国内の高速道路交通量に与えた影響に関する実証研究

赤井伸郎 教授

(公共経済学)

T.A.さん

男女比が性別役割意識に与える影響に関する実証研究

瀧井克也 教授

(人材配置の経済学・人と組織の経済学・サーチとマッチングの理論)

N.U.さん

女性議員の存在が政策に与える影響に関する実証研究

松林哲也 教授

(政治学・政治経済学・社会医学)

R.I.さん

自由貿易協定と貿易財カテゴリーの変化についての実証研究

石瀬寛和 准教授

(マクロ経済学・国際経済学)

M.N.さん

職場における多様性が企業の生産性に与える影響に関する実証研究

小原美紀 教授

(労働経済学・応用計量経済学)

筆者

マイノリティの包括を進める取り組みが集団間不平等に与える影響に関する実証研究

鎌田拓馬 准教授
(犯罪学・都市社会学・社会的不平等)

 

今回参加してくれているみなさんの殆どは経済学部出身ですが、経済学研究科ではなくOSIPPで経済学を学ぶことにした理由を教えてください。 

T.A.さん(瀧井研):OSIPPの経済系の魅力は、研究と実務の両方をバランスよく学べる点です。
経済学を学べる研究科としては、経済学研究科と公共政策大学院があります。まず、多くの経済学研究科は博士後期課程(博士課程)進学を念頭においているためコースワークの比重が高い傾向があり、また実証研究よりも理論研究を主に行っているところが多いです。次に、OSIPPと同じ公共政策大学院であっても専門職大学院となっているところは修士論文の執筆が必須でなく、実務教育に重点を置いています。その状況の中で、OSIPPでは博士前期課程(修士課程)の2年間で充実した学びや研究ができ、修了後には就職の選択肢も、博士後期課程への進学の選択肢もあります。

R.I.さん(石瀬研):経済学を勉強するとなると経済学研究科しかないと思っていましたが、経済学修士の学位取得にこだわらない場合には、公共政策大学院で経済学を学ぶという選択肢があることを知りました。私は修士号取得後には就職するつもりだったので、公共政策大学院の環境が合っていると感じました。OSIPPに所属していれば、経済学研究科の授業も単位として取ることができます。

M.N.さん(小原研): 経済学部出身ですが、大学院を選ぶ際に一時は国際関係論など他の分野を専攻するかどうかを検討していました。最終的には経済学を学ぶことに決めましたが、OSIPPでは様々な分野の教員がおり、どちらの選択も可能であることが魅力でした。

C.S.さん(赤井研): 経済学部の出身ではないのですが、OSIPPでは英語で経済学を学べる点に惹かれました。OSIPPの経済系はコースワークが整備されており、初学者でも自分のモチベーションと努力次第で一から経済学の考え方を身につけることができる環境です。

 

現在の指導教員や研究室を選んだ理由を教えてください。

N.U.さん(松林研):学部では主に国際経済学や開発経済学を学んでいましたが、社会の様々な問題は政治と密接に関連していることに気づきました。国民の政治への参加が社会の機能向上に寄与すると考え、松林先生の研究分野が近かったのでOSIPPに進学しました。また、松林先生が実証分析を通じたエビデンスを重視されている点も魅力でした。

M.N.さん(小原研):私は経済学の実証研究全般に興味があり、学生の研究テーマが多岐に渡っている研究室を選びました。学生の数が多く、毎週の対面ゼミがある環境が、自分にとって研究がしやすいと感じました。

R.I.さん(石瀬研):入学後に研究室を一度変更しました。国際経済学に興味があり、石瀬先生が大規模なデータを扱うためのソフトウェアや高度なプログラミングスキルを持っていることから、石瀬先生の指導を受けることにしました。

 

指導教員の指導スタイルやゼミについて教えてください。

T.A.さん (瀧井研):基本的には個人指導ですが、経済学研究科との合同ゼミがあり、毎週研究発表が行われています。

R.I.さん(石瀬研)石瀬先生の研究室も2週間に1度くらいのペースで個人指導のミーティングがあります。また、複数の教員や学生からの意見が聞けるので、副査の先生のゼミにも出席しています。

筆者(鎌田研): 私も個人指導を受けています。自分のペースで研究を進められるので、私の性格にはとても合っています。

M.N.さん(小原研):毎週対面のゼミがあります。博士後期課程の先輩たちとの関わりも多く、たてとよこのつながりが強いです。個人の修士論文の研究に加えて、研究室全体での共同プロジェクトもあります。

C.S.さん(赤井研):赤井研究室も毎週対面のゼミがあり、修了生とのつながりも強いです。講演会や研究室旅行などの研究室内外の活動への積極的な参加を求められるため、それらを楽しめる人だとなお良いと思います。

N.U.さん(松林研):今年度は先生がサバティカル(研究休暇)中で海外に滞在されているので、海外からオンラインやメールで指導を受けています。

 

研究室を選ぶにあたってのアドバイスはありますか?

M.N.さん(小原研): OSIPPで実証研究を行いたい場合、特に博士前期課程の段階では、経済系で実証研究を行う教員であればどなたからでも学生の研究内容の分野に限らず指導を受けることができるのではないでしょうか。

(一同同意)

M.N.さん(小原研): もちろん、研究の分野や関心が近いに越したことはないですが、教員や研究室全体の雰囲気との相性も考慮すべきだと思います。私の場合は、どんな環境で研究がしやすいかを考えたときに、毎週対面でゼミが行われる環境が自分にとって成長できると感じました。また、小原先生の「研究がおもしろい!」とおっしゃる人柄にも惹かれています。小原先生の研究紹介:https://news.osipp.osaka-u.ac.jp/?p=13108

C.S.さん(赤井研):赤井先生はとてもフレンドリーで研究の相談がしやすいです。また、教員が主にどの言語で研究活動を行っているかも1つの基準になるかもしれません。

筆者(鎌田研): 思わぬところで関心がつながっていたりすることもあるので、OSIPPホームページの教員紹介の研究テーマのキーワードだけでなく、これまでに書かれている論文なども読んでみるといいと思います。また、OSIPPNewsでは教員の人柄が伝わるような教員紹介や研究内容も掲載されているので、ぜひ参考にしてください!

 

就職後にOSIPP経済系での学びは生きますか?

T.A.さん(瀧井研):OSIPP修了後はアクチュアリー(保険数理士)として働く予定です。因果推論の考え方やデータ分析のスキルを駆使し、人々の特性などを考慮して適切な保険料を算出するような内容の仕事になります。

C.S.さん(赤井研):修了後は、メーカーの経営戦略に関わる仕事に就く予定です。経営のデータを扱いながら戦略を考える役割を果たすことになりますので、OSIPPで学んだデータの扱い方や見方を活かしたいと考えています。

N.U.さん(松林研): 私も同様に、社会情勢や社会のニーズをデータで分析することにより、商品の機能やデザイン、販売方法などに反映させる仕事に就く予定です。

 

今回は実証研究を行う学生に話を聞きましたが、OSIPP経済系には理論研究を行う教員や学生もいます。また、経済学系の教員の中にも政治学や社会学の分野でデータを使った実証分析をしている教員も在籍しているため、さまざまな視点からフィードバックを受けられるのが魅力だと感じています。ぜひOSIPP経済系で経済学の勉強をすることをご検討ください!

(OSIPP博士前期課程 池内里桜)

今回参加してくれた澤村さん(左)、渥美さん、中野さん(右)