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【院生投稿】山本葉月さん(OSIPP博士前期課程)

【院生投稿】山本葉月さん(OSIPP博士前期課程)

初めまして。私は、今年の3月に大阪大学法学部国際公共政策学科を卒業し、4月からOSIPP博士前期課程に在籍しています。今回は、OSIPPに進学した理由や研究内容について紹介したいと思います。
(写真:友人と卒業旅行で訪れたラオスのクアンシーの滝)

 

 

大学院への進学理由

私が大学院に進学しようと思ったきっかけは、就職活動でした。大学に入る前から国連などの国際機関で働きたいと思っていたため、大阪大学の国際公共政策学科を受験しました。しかし入学後から3年次までは「今しか出来ないことをしよう」と、学生団体や民間企業での長期インターンシップなど、そのときに興味のあることに熱中していました。学部3年次の春頃から就職活動をきっかけに将来を考えたとき、かつての目標を思いだし、国連機関で働くには修士号以上の学位が必要であるため、大学院への進学が選択肢として生まれました。

そして、もともと国際政治や平和に関心があり、ミャンマーの軍事クーデターやロシアのウクライナ侵攻など国際情勢の変化が重なったことで、それらに対する関心を強めたこと、3年次により専門的な授業が増え「人間の安全保障」や「市民社会論」など、自分の興味をより具体化できたことなどから、もっと深く勉強したいと思うようになりました。

 

OSIPPへの進学理由

大学院進学において、どの大学院にするか、どの研究室にするかを考える中で、国際関係論や紛争解決を定量的な手法で行うOSIPPの片桐梓准教授や前川和歌子准教授の研究に興味を持ちました。それに伴い、4年次の前期は以前一度挫折し、それ以降避けてきた統計の授業を受けたり、片桐先生と前川先生のゼミを掛け持ちさせてもらったりするなど勉強に励んでいると、それらの研究を面白く感じるようになったこと、また、在学中に1年間留学することで2つの大学から修士号を取得できるというダブルディグリー・プログラムが魅力的だったこともあり、OSIPPへの進学を決めました。

 

研究内容とOSIPPでの学生生活

・研究内容について
現在は、前川先生のもとで、紛争下における市民や市民社会が和平プロセスに与える影響について研究したいと考えています。もともとは、なぜ紛争が開始し、どのように終結するかに関心がありました。その分野を学んでいく中で、紛争下の市民が、多くの報道で扱われているような「犠牲者」以外の側面を持っていることに興味を持ちました。例えば、2003年のリベリア内戦では女性を中心とした抗議運動が、政府と反政府勢力組織の和平交渉を実現させ、14年間続いた内戦を終結へ導きました。このような活発な市民社会活動が紛争の平和的な解決に対して、どのような影響を持っているかを、事例研究や定量分析で明らかにしたいと考えています。

・OSIPPでの学生生活について
上記のような研究を念頭に置いているため、授業は計量経済学などの定量的な手法だけでなく、法学研究科で開講されている鳥飼将雅准教授の定性研究の方法論の授業なども受講しています。OSIPPでは、指導教員と相談し、研究に必要であることを証明できれば、OSIPP開講授業でなくても他研究科の授業科目を履修することができます。また、その科目が教授会で修了要件科目に認定された場合は単位換算することができます。

授業終わりのOSIPPの友人とのお疲れ様会。
左から3番目筆者。

授業に関しては、学部時代とは違って、ただ聞いているだけの授業はほとんどなく、事前に読んでおいた論文の内容を基にして他の受講生と議論をするなど、主体性を求められる授業ばかりです。英語での議論について行くのに精一杯な時もありますが、特に片桐先生の国際関係論の授業は、多様なバックグラウンドを持つ学生で構成されているため、様々な観点から示唆を得られることがとても面白いです。

授業以外では、OSIPPの学生が集まるリフレッシュルームでの交流や、OSIPPの新たな友人と食事や遊びに行く時間が、心の支えになっています。

 

今後について

今年の9月からダブル・ディグリー・プログラムを利用して、オランダのグローニンゲン大学に留学します。ダブル・ディグリー・プログラムは、OSIPP在学中にいずれかの大学に約1年間留学することにより、2年間の大学院在籍で両方の大学(大阪大学とグローニンゲン大学)の修士号を取得することができるプログラムです。OSIPPのダブル・ディグリー・プログラムでは、フィリピンのデ・ラ・サール大学とも協定を結んでいます。修了後は民間企業に就職したいと考えているため、授業、留学準備、就活、と日々「やらなければいけないこと」に追われていますが、留学先での生活や研究に思いを馳せ、自分は幸運にも「やりたいこと」をさせてもらえているのだと思い直し、日々大学院の生活を楽しもうと頑張っています。

大阪大学卒業式後、青雲会懸賞論文授賞式の写真。左端が筆者。(2024年3月)