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【院生投稿】那須公香さん(OSIPP博士前期課程)

【院生投稿】那須公香さん(OSIPP博士前期課程)


私は、この春大阪大学外国語学部ハンガリー語専攻を卒業し、OSIPPの博士前期課程に入学しました。
(写真:2021年9月ハンガリー留学中に首都ブダペストにて撮影。ドナウ川を挟んで奥に見える建物は国会議事堂。)

 

 

〜大学院進学・OSIPPを志望した理由〜

私が大学院に進学し、その中でもOSIPPに入学したいと思った理由は、第一に、政治や政策についてきちんと学ぶ必要性があると感じたからです。私は、神戸のNGOであるCODE海外災害援助市民センターで学生ボランティアとして活動しています。これまで、ウクライナから避難してきたご家庭の子守ボランティアやトルコの被災地へボランティアに行ってきました。6月には能登半島の被災地に足湯ボランティアに行く予定です。そして、このような市民活動をする中で見えてきた多くの課題は、政治や政策に関連するものでした。現場では、「なぜこのような問題が発生してしまうのか?」という疑問を何度も抱きました。政策がどのような影響を市民にもたらしているのかを俯瞰的に捉え、問題解決につなげるために、学問として政策を学びたいと思うようになりました。

第二に、私は将来外交官になりたいと考えており、外交や国際法についても学ぶことのできるOSIPPは将来のキャリアに向けて最適な場所だと考えました。また、海外では、修士以上の学歴を求められることも多く、将来のキャリアの選択肢を増やすためにもOSIPPを志望しました。そこで、今学期は、元外務事務次官の薮中三十二先生の授業を含め外交に関連する授業も履修しています。普段テレビのニュースなどでしか話を聞く機会がないような方々の授業を受けることができる点でもOSIPPはとても魅力的だと思います。

第三に、OSIPPの学際性にとても惹かれたからです。様々なバックグラウンドを持った日本の学生や留学生、自分が知らない分野について研究している人々に囲まれる方が、多角的に研究することができるのではないかと考えました。また、他者に自分が取り組んでることを分かりやすく伝える力を磨き、新しい環境で自分を成長させたいと思い、OSIPPを受験しました。

 

〜研究テーマ〜

私の研究テーマは、「国家の狭間に置かれた人々〜近隣諸国出身のハンガリー系マイノリティで、母国ハンガリーに移住した人々の事例〜」です。ハンガリーのオルバーン政権が近隣諸国のハンガリー系マイノリティの人々に対して取り組んでいる「国民政策」が提起している問題を研究する予定です。グローバル化が進む中、様々な背景から複数の帰属を持つ人々が多くなってきており、そのような人々が抱える困難や問題と国家による政策が関連しているのかどうかを明らかにしたいと考えています。

指導教員は、社会学、民族・エスニシティ、市民社会論が専門の河村倫哉先生です。私の研究テーマは、移民、ナショナリズム、多文化共生などに関連しているので、河村先生に指導をお願いしました。

 

 〜入学後1か月経って~

私は、興味・関心や研究テーマに合わせて授業を選択しています。OSIPPには様々な授業があり、ある一つのイシューを歴史、政治、法、経済などの観点から考えることができる環境が整っています。イシューについて多角的に考える良い訓練になります。また、一つ一つの授業内容が高度なので、どの授業でも、習ったことをそのままインプットしたり、課題をただこなしたりするだけでは、なんとなく受け身のままで終わってしまうと思います。学部生の時以上に主体的に、積極的に学んでいかなければならないと感じています。また、私は、学部生の時、マルチリンガルエキスパート養成プログラムを利用し、人間科学部の授業も並行して履修していました。OSIPP生も他学部・他研究科の授業を履修することができるため、今学期は人文学研究科の日本近現代史の授業を履修しています。

 

~今後のビジョン~  

ハンガリーのバラトン湖(2022年6月撮影)。
ハンガリーが社会主義体制だった時も多くの外国人観光客が訪れました。その中でも特にドイツ人が多く、東ドイツと西ドイツで別れてしまった家族が再会できる場所だったそうです。

私の曽祖父は先の戦争で戦死しました。祖父は戦争の悲惨さや命の尊さについて私が幼い頃から語り続けてくれていましたが、私は戦争など遠い昔に起こったことだと思っていました。しかし、2022年のロシアによるウクライナ侵攻が起こった時、私はちょうどハンガリーに留学していました。ウクライナから逃げてきた人々を目の当たりにしたことや、隣国で戦争が始まってしまったことを感じさせたあの重苦しい雰囲気は今でも忘れることができません。さらに、子守ボランティアでは、祖父が語ってくれたことと同じような想いを聞きました。

現在、世界各地で災害や紛争が起こり、さらに分断が進む社会の中に私たちは生きています。しかし、世界はつながっているからこそ、どこかで起こっている問題は、決して他人事ではないはずです。人間がお互いに協力して社会問題を解決するために、それぞれができる範囲で行動していかなければなりません。自分とは全く異なるバックグラウンドを持った他者を理解“しよう”とする「想像力」を使って、私は、OSIPPでたくさんのことを学び、多角的な視点から物事を考えることができる人になり、学んだことを社会や他者に還元できるように頑張ります。

筆者が高校卒業までを過ごした島根県雲南市の風景(2024年5月撮影)。