2025.2.4

OSIPP基幹講座教員の1月の研究業績をご紹介します。
・赤井伸郎 先生
赤井伸郎(著書)
赤井伸郎、宮錦三樹著『教育の財政構造──経済学からみた費用と財源』慶應義塾大学出版会(2025年1月刊行)https://www.keio-up.co.jp/np/isbn/9784766430066/
概要:将来の人口減少下で日本の成長には人材育成としての教育の政策効果を最大化することが欠かせない。限られた資金をどのような制度の下で配分すれば、教育・研究の費用対効果を高められるのか。財政的・経済学的視点から国・地方自治体の責任主体別費用と財源の構造を明らかにし、効率的で公平な教育財政・資金配分制度を提案する。国および地方自治体の主体別支出と財源構造を明らかにした上で、どこに無駄があるのかを洗い出し、よりよい投資支出を考える上での土台を提供する。現在本書のような財政的(経済学的)視点を伴った教育投資分析を試みた書物は少ない。本書は、財政学の視点から、エビデンスおよび綿密なデータ分析を駆使しながらわが国の教育財政構造の実態を把握することを試みる。
赤井伸郎(その他の記事)
「学生「年収103万円の壁」、議論は尽くしたか」『十字路』日本経済新聞(2024年12月26日付夕刊)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF2031M0Q4A221C2000000/?msockid=07cc35830fa26d800f6f21fb0e296c6d
概要:19から22歳の子の親の税負担を軽くする特定扶養控除について、子の年収が103万円を超えると控除がいきなりゼロになる「学生の年収103万円の壁」が引き上げられることになった。学生がアルバイト収入を増やすことによるメリットは、金銭的余裕、就職やキャリア形成、労働力などある。しかし、デメリットとして、勉強時間減少、教育による人材育成の妨げを通じた、将来の日本の経済成長への負の影響もある。生活が苦しい学生むけには、給付型奨学金制度や授業料減免などの制度も存在する。個人的には学生を人手不足解消のための労働力と見なすことには違和感もある。