在学生

【院生投稿】 田中聡さん (OSIPP博士前期課程)

■OSIPPでの学び

私は現在、ここ国際公共政策研究科(OSIPP)にてボスニア・ヘルツェゴビナにおける紛争後の国家建設についての研究を行っています。私は大学時代、国際政治学を専攻していました。その際に、1990年代あたりから盛んに行われるようになった、紛争に陥った国家を国際社会からの支援によって再建する「国家建設」に関心を持ち、より深く勉強をしたいと考え、大学院への進学を決めました。

OSIPPの良さの一つとして多様性が挙げられます。法律・政治・経済と幅広い分野の先生方がいらっしゃるだけでなく、多くの留学生を含め、多様なバックグラウンドを持つ学生が集まっています。そうした環境の中で毎日多くの刺激を受けながら勉強に取り組むことができています。

博士前期課程の一年目は、主にこれからの研究に向けて必要な基礎を重点的に学びました。自分の専門分野である政治だけでなく法律や経済も含め、非常にレベルの高い授業を通して、知識だけでなく、論理的な思考方法、論文の読み方・書き方などを学びました。この一年間の学びはこれから取り組む修士論文の執筆に向けてとても良い基礎体力作りになったと思います。(左上写真:ボスニアでのインターンシップ時の写真)

 

 ■ボスニアでのインターンシップ

ON meeting

私は、春休みの長期休暇を利用して、研究対象としているボスニアにて1ヶ月ほどのインターンシップを行いました。その際、ボスニアへの渡航に向けて大阪大学やOSIPPの先生方には様々な面でお力添えをいただきました。こうした活動へのサポートが手厚いこともOSIPPの良さの一つだと思います。

ボスニアでは、民族融和に向けて活動をする現地のNGOにてインターンシップを体験しました。ボスニアでは紛争終結から20年以上経つ現在でも、民族間の分断が深刻です。インターンシップでは、これを乗り越えるべく実際に行なわれている多民族共存への様々な活動の現場へと同行させてもらいました。紛争被害者らによる講演会や小学校での異文化理解に向けての授業など、幅広い取り組みに参加しました。その中でも特に興味深かったのが、インターンシップ初日に連れて行ってもらったゴラジュデという町で行われた会議でした。ゴラジュデは紛争時に大変熾烈な戦闘を経験した町で、紛争後も民族間の溝が大変深く残っていました。しかしここ数年、民族間の協力を促進させようという動きが、町の市長をも含めて政治レベルで起こり始めています。インターンシップに参加したことで、こうした現場に居合わすことができました。このように今実際にボスニアで起こっていることを自分の目で見るということは、今後の研究に向けても大変貴重な経験となりました。(右上写真:ゴラジュデでの会議の様子)

 

 ■今後にむけて

これから博士前期課程の二年目に入り、本格的に自分の研究を始めていきます。OSIPPでの一年目で培った基礎の力と、インターンシップを通して今のボスニアの雰囲気を自分自身で感じ取った経験とを生かしながら、修士論文執筆に向けて頑張っていきたいと思います。そしてその後は、博士後期課程へと進学し、研究者を目指してさらなる研究に取り組んでいきたいと考えています。