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公開セミナー「人道危機対応における開発援助機関の役割」開催

公開セミナー「人道危機対応における開発援助機関の役割」開催


2018年11月26日、豊中キャンパスOSIPP棟の講義シアターにおいて、JICA研究所・OSIPPによる公開セミナー「人道危機対応における開発援助機関の役割」が開催されました。今回の公開セミナーでは、⾃然災害(ホンジュラスのハリケーンミッチ、スマトラ沖⼤地震およびインド洋津波、フィリピンの台⾵ヨランダ)と武⼒紛争(東ティモール紛争、南スーダン紛争、シリア危機)に関するJICA研究所の事例研究の成果が報告されました。

 

まず、JICA 研究所(平和と開発)主任研究員である武藤亜⼦氏によって、「開発援助機関による⼈道危機への取組み:シリア危機の事例から」と題された報告が行われました。武藤氏はJICAによるシリア危機対応に関して、特にトルコ・レバノン・ヨルダンにおける難民の現状や具体的な難民支援事業について紹介されました。また、「2008年に設立されたJICA研究所には2つの柱があり、それは人間の安全保障と平和構築である。その役割は実務者(現場)と研究者の結びつきを強化することにある」と話されていました。

 

次に具体的な事例研究の成果として、JICA 研究所(平和と開発) 研究員である川⼝智恵氏によって、「開発援助機関の紛争を起因とした⼈道危機への取り組みー南スーダンの事例から」と題された報告が行われました。最後に、ゴメズ・オスカル氏(⽴命館アジア太平洋⼤学助教)によって、「開発援助機関の⾃然災害を起因とした⼈道危機への取組み」と題した報告が行われました。

 

 

この研究成果はJICA研究所のホームページで公表されています。

(No.136: The Continuum of Humanitarian Crises Management: Multiple Approaches and the Challenge of Convergence , https://www.jica.go.jp/jica-ri/publication/workingpaper/wp_136.html

さらに、3年に及ぶプロジェクトの研究成果は、Crisis Management Beyond the Humanitarian-Development Nexus (Routledge, 2018) として今年10月に出版されました。(https://www.jica.go.jp/jica-ri/publication/booksandreports/20181001_01.html

 

三人の報告が終わった後、討論者である堀江正伸氏(元 WFP プログラムオフィサー、武庫川⼥⼦⼤学教授)による問題提起がありました。堀江氏は、人道支援と開発における政治性の問題を指摘し、報告者からはそれぞれ応答がなされました。フロアからも報告者に対して質問が行われるなど、公開セミナーは盛況のうちに幕を閉じました。

 

(OSIPP博士前期課程 韓光勲)

 

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