修了生

卒業生近況 柳澤陽介さん/国際協力銀行(JBIC)勤務

柳澤陽介さんは、政府系金融機関である株式会社国際協力銀行(JBIC)に勤務している。子供の頃から、世界を舞台に様々な人や文化に触れてみたいと考えており、経済・社会へのインパクトの大きい大型プロジェクトに携われる仕事に魅力を感じ、2003年にOSIPP博士前期課程を修了後、JBICに就職。入行後は、東南アジア全般、イギリス、アメリカ、ブラジル、ロシア、バングラデシュ、トルコ、南アフリカ等、世界中を出張で飛び回り、海外赴任も経験した。

 

 

現在は、インフラ・ファイナンス部門の運輸・通信事業部で、港湾、空港、道路、パイプライン等の輸送インフラに関する事業への融資を担当する。インフラ事業は、国家の経済的・軍事的な重要性から極めて政治的な影響を受けやすいものであるため、世界の政治・経済の動きを肌で感じながら仕事するという醍醐味があると語る。

大規模プロジェクトを扱う国際金融の世界では、案件は全てオーダーメイドで決まりきったやり方がないため苦心もするが、それだけに自分の携わった仕事には思い入れが深い。特に難しい交渉を経て合意に至った契約書が調印された時の達成感は格別だと言う。ニューヨークでは、長く激しい交渉の末にようやく合意・契約に至り、相手方のブラジル人と夜通し打ち上げのカラオケで盛り上がり、労をねぎらいあったという忘れられない経験もある。

OSIPP時代の思い出は、同級生と連日徹夜で院生室とリフレッシュルームを行き来しながら、講義の予習や論文執筆に追われたことだ。指導教授からは、相手の理解度も踏まえながら端的に説明するという交渉の基本を叩き込まれ、その姿勢が今の仕事で交渉する際にも活かされていると言う。

「社会経験を得て今思うのは、国際公共政策を学ぶ学生にとっては、現場体験が重要だということ。論文やデータと格闘するばかりでなく、現地調査や実務家への取材などを通じ、社会で起きていることを肌で感じることが、自分の望む研究や仕事に出会うため、自分なりの問題意識を持つための一歩になる。学生間でも積極的にイベント等を開催して楽しい思い出を作りながら、視野を広げ見識を深めてほしいと思う」とOSIPP生を激励した。