Eventsセミナー・シンポジウム

千 玄室 氏(裏千家前家元)講演会

国連創設70周年・ユネスコ設立70周年記念特別セミナー第2弾

「文化を通じて平和をいかに推進するのか」


 5月13日、国連創設70周年・ユネスコ設立70周年記念特別セミナー第2弾として、千玄室大阪大学OSIPP客員教授(裏千家前家元、国連親善大使、ユネスコ親善大使)による講演会が、大阪大学基礎工学国際棟シグマホールにて開催されました。

 「文化を通じて平和をいかに推進するのか」と題した本講演は、真の平和をどのようにして創り出すのか、そうした平和の創出には何が必要なのかについて、文化の持つ役割という観点から語られました。千氏は、千利休が説いた「和・敬・清・寂」の精神である茶道の心得-「四規」-を引用しながら、「平和とは互いの心を開き、差別・区別なく相互に敬いあうことにより創出される。そして真の平和の実現には寛容・忍耐・慈愛の精神が欠かせない」と述べられました。千氏はユネスコ親善大使として、「一盌からピースフルネスを」の理念で、世界平和を願って各国で茶道を紹介し、その精神を世界中の人々に伝道しておられます。

 また千氏は、ご自身の学生・軍人・茶人といった多様な経験の中から、本講演においては裏千家の家元を継承するための大徳寺での修行経験についてお話しされました。境内に生える雑草を何気なく抜いていた際、老師が千氏に発した、「何気なく抜いたその雑草にも命がある。お前は何を思って引き抜いているのか」という言葉から、軍隊においては経験することのなかった、自らの意思で物事を主体的に考えること、そして命の尊さについて学ぶことができたというエピソードを披露して頂きました。千氏は聴衆として集まった多くの教員・学生達に豊富な経験談とそこから得た様々な学びを紹介し、色々な世界に飛び出して学ぶことの重要性を説かれました。

(OSIPP博士前期課程 中田 淳)