【院生投稿】大谷知弘さん(OSIPP博士前期課程)
2022.3.15
【院生投稿】大谷知弘さん(OSIPP博士前期課程)
私は大阪大学法学部国際公共政策学科からOSIPPに進学し、現在修士課程にあたる博士前期課程1年次に在籍して経済学を学んでいます。今回は大学院進学を決めた理由、OSIPPを選んだ理由、研究内容などをお話ししたいと思います。
(写真:豊中キャンパスにて撮影)
大学院進学を決めた理由
学部卒での就職と迷いつつも、大学院進学を決めたのは学部3年次が終了した時期でした。その理由は、学部生時代に受けた講義をきっかけとして、経済学が社会に役立つことを実感したからです。その講義は、途上国開発支援の現場で活躍している実務家の方によるものであり、その方が実践されている、フィールド実験において経済学的立場からみた施策の因果関係を特定する方法について学びました。その中で私は、社会に直接的に役に立っている経済学があることを実感しました。その経験から、経済学をより深く学び、自分の武器として身に着け、将来的にそれを生かせる仕事に就きたいと考え、大学院に進学しました。
OSIPPを選択した理由
数ある大学院の中でOSIPPを選択した理由は二つあります。一つ目に、魅力的な先生の存在です。私が専攻したいと思っていた実証産業組織論を専門とされているOSIPP准教授 髙橋秀典先生の存在や、OSIPPには比較的若い先生方が多いため学生と教員との距離感が近いというところも魅力に感じていました。二つ目の理由として、論文を執筆する時間の確保が可能である点です。私の大学院での目標として、論文という形でのアウトプットをできるだけ多く行いたいと思っています。博士前期課程の二年間はかなり短いので、学部時代から慣れ親しんだ場所での院生生活は、新しい環境で発生するコストを最小限にし、在籍されている先生方の専攻について知識があるという点で、不確実性を可能な限り抑えて学生生活を行い、論文執筆を進めることができると考えました。
OSIPPをおすすめできる点
先ず、OSIPPは過去の専攻に関わらず成長できる環境だと思います。数学に自信がない方や学部時代に経済学を専攻していない方でも、そのレベルに合わせて講義を選択できます。OSIPPの経済系に関しては、実践的な点を重視しているのも特徴です。講義の中でSTATAやRなどの統計分析ソフトウェアを使う機会が多々あり、実際にデータ分析を行う能力を身に着けることができます。次に、OSIPPの大きな特徴として、経済学だけでなく政治学、社会学といった様々な分野で実証研究されている先生や学生がいます。この環境にいると異なる学問の知見を自然と取得できることは、非常に魅力的なことです。
研究内容
現在は経済学、及び計量経済学の基礎を固めるための講義を受講しています。指導教員は髙橋秀典先生で実証産業組織論を専攻しています。この分野は理論と実証の両方の知識が求められるため勉強量は多くなりますが、企業の価格戦略、参入行動、オークションなど現実問題への応用可能性が非常に大きい分野なのでとても興味深いです。
私の研究テーマは「調達オークションにおける入札者優遇制度の分析」です。和歌山県で行われている道路を敷設する業者を選定する際のオークションの入札結果を用いて、入札者に実質的な価格の優遇を与える制度の分析を行っています。分析手法としては因果推論のアプローチを用いて執筆しており、研究の今後の発展としては、構造推定アプローチにも挑戦したいと考えています。なお、来年度には、総合大学としての大阪大学の強みを生かし、基礎工学研究科など他研究科のデータ分析の講義も受講したいと考えています。
OSIPPに入学して
OSIPPに入学して約一年が経ち、現在の研究生活には非常に満足しているところです。研究には正解がないため、自分で試行錯誤しながら進めていく過程や、経済学の激しい変遷になんとか追いつこうと努力する過程を、とても楽しく感じています。大学院での目的意識をしっかり持ち、自主的に考えて行動できる人にはOSIPPは適していると思います。