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第8回国際公共政策コンファレンス(待兼山会議)

2023年3月18日(土)・19日(日)に「第8回待兼山会議(国際公共政策コンファレンス)」が豊中キャンパスにてオンラインも併用しつつ開催された。2015年から開催されてきた本会議は、コロナ禍による一度の中止を経て、今年で8度目の開催となった。このイベントは、主に高校生を対象とした、国際的な課題に関する研究発表の場である。
(写真:最優秀賞・個人発表優秀賞を受賞した水谷優来さんの発表)

 

植田さんの発表の様子

今年は「持続可能な開発目標(SDGs)の実現のための国際的な問題の分析とその解決策」というテーマの下、個人・グループで計17組34人の高校生が発表を行った。1日目はOSIPP棟にて分科会に分かれて発表が行われ、2日目は理学研究科南部陽一郎ホールにて各分科会の代表者による発表が行われた。高校生による発表は大変興味深く、質の高いものばかりであった。その中から特に優れた発表が表彰され、「ナイル川流域におけるエジプトとスーダンの水紛争 現状把握と政策提言」というテーマで、ナイル川流域で将来予測される水分配に係る紛争に着目した発表を行った 水谷優来さん(United World College Red Cross Nordic)が、最優秀賞及び個人発表優秀賞を受賞した。二国間の適切な水分配の比率に関して様々な学問分野の手法を用いた研究成果の発表と政策提言がなされ、非常に公共性の高い優れた発表であった。また、優秀賞を受賞した植田清花さん(神戸市立葺合高等学校)は「障害理解のための効果的なインクルーシブ教育」というテーマで、同じく優秀賞を受賞した山田あやめさん・増山俊治さん・奥村優里奈さん・東美奈さん(長崎県立長崎東高等学校)のグループは「持続可能な藻場造成」というテーマでそれぞれ発表を行った。 また、2日間の日程の中で2回の基調講演が行われた。1日目にはOSIPPにて博士前期課程を修めた越智萌先生(立命館大学大学院国際関係研究科准教授)より、「悲しみを乗り越える法の力―ロシア・ウクライナ紛争の後処理を考える―」というテーマで、ロシア・ウクライナ紛争に関して国際刑事司法の観点から戦争犯罪やICC(国際刑事裁判所)などについての講演が行われた。なお、講演前日にICCによってロシアのプーチン大統領に逮捕状が出されたことで、偶然ながらも非常に時宜を得た講演となった。2日目には三重県職員の安藤智広氏を迎えて、自身が勤務していた台湾と日本の交流の歴史などについて講演が行われた。

 

懇親会の様子

高校生による発表は、充実した研究成果は勿論のこと、待兼山会議の発表への綿密な準備の跡がうかがえるもので、今後の研究の進展が非常に期待できるものであった。参加者はお互いの発表を聞くことで、将来を担う意欲的な高校生同士で刺激を得たのではないだろうか。本会議では、国際的な諸課題への関心や問題解決のための能力・発信力を身に着けることと同時に、意欲的な高校生同士のネットワークの構築も開催の目的としている。本会議で得た経験とネットワークを生かして、共に社会の諸課題に取り組むきっかけを得られたとすれば、運営に携わった一人として無上の喜びである。

 

<待兼山会議ウェブサイト>
https://osippconference.wixsite.com/conference

※昨年度まで松繁寿和教授(昨春ご退職)のゼミにより運営されてきた本行事は、今年度より法学部国際公共政策学科の学生を中心に設立された学生運営団体Flagshipのもとで運営されることとなった。

(学生運営団体Flagship / 法学部国際公共政策学科3年 久保光)