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「研究の魅力:性別を問わず挑戦できる環境について」開催

「研究の魅力:性別を問わず挑戦できる環境について」開催


2023年4月5日(水)、豊中総合学館302講義室とオンラインのハイブリット形式で「研究の魅力:性別を問わず挑戦できる環境について」が開催された。本イベントは、研究者を目指す女性の学生を支援する取り組みの一環として、女性研究者や子育て中の研究者と対話する機会を提供する目的で企画された。OSIPP修了生である大阪商業大学公共学部の中嶋貴子准教授、甲南大学経済学部の足立泰美教授、OSIPPの室岡健志准教授、前川和歌子准教授、髙田陽奈子准教授、王冬琴助教の6人の研究者が登壇し、このうち、5人が女性で、4人が子育て中の研究者であった。(写真:室岡先生からの説明の様子)

 

赤井先生による説明

イベント冒頭では、学内外の生活を支援する奨学金制度についてOSIPP教授である赤井伸郎先生から紹介があり、続いて室岡先生からは、大阪大学で提供されている保育支援制度について説明があった(冒頭の写真)。大阪大学では、教職員だけでなく学生も利用できる学内保育園や一時預かり保育などが充実しており、学生や教職員が自分の研究に専念できる環境を整えるために大きな支援がなされていることが紹介された。その後、登壇者たちは、自身の経験談を共有し、研究者になった背景や魅力について語った。子育て中の研究者たちは、大学での研究職の魅力の1つとしては、自分のスケジュールや仕事内容を自分で決めることができる柔軟性を挙げており、その点が仕事と子育てとの両立に役立っていると話した。

髙田先生による説明の様子

後半では、研究や家庭との両立のハードルを乗り越えるノウハウを説明した。研究面では、それぞれの登壇者が博士号を取得した後から現在の職に就くまでの過程を説明し、キャリア形成のイメージを共有した。また、子育て中の女性教員3人からは、出産を経て研究を続けるための経験や知恵が語られた。中嶋先生は、行政による経済的な支援や保育支援などを積極的に利用することで、子育てをしながらも研究を続けられる環境を整えることができるとし、研究職のキャリア形成について悩みがあれば、一人で悩まずに教員や卒業生などに相談することを勧めた。また、足立先生からは、子育ては大変ではあるがキャリアにマイナスの影響を与えるものではなく、子育て経験から思いついた問いから、新たな研究テーマを得たという経験が語られた。髙田先生は自身の出産を経たことで同僚や学生の家庭の事情、健康の事情に気を配るようになったことを振り返り、子育て中の女性研究者に限らず多様なニーズを持つ人々全てが研究を続けることができる環境の整備が必要であると話した。イベントの最後には、普段なかなか尋ねる機会のないキャリア面や家庭と仕事の両立に関する具体的な質問が多数寄せられ、学生たちの関心の高さが伺えた。

ライブビューイングでも開催された

本イベントでは、OSIPPでの学生時代に子育てを経験した方や、研究者になってから出産を経験した方など、様々なバックグラウンドを持つ人の話を聞くことで、キャリアの多様性を知ることができた。近年はRPD(注1)や男性育休など、年々ワーク・ライフバランスを保ちやすい支援体制が整ってきているとの説明もあった。このようなイベントにおいて支援に関する情報や多様な研究者の実際の経験を知ることは、筆者を含めた研究者を目指す学生にとって心強い励みになり、そうでない学生にとっても研究者としてのキャリアを検討するきっかけになったのではないだろうか。

(OSIPP博士前期課程 池内里桜)

(注1)出産・育児により研究を中断した研究者を支援する制度
JSPS CHEERS!(日本学術振興会)