在学生

【インターンシップ】霞が関インターンシップ

【インターンシップ】霞が関インターンシップ


私は9月4~15日の10日間、厚生労働省保険局保険課でのインターンに参加しました。このインターンは人事院が公共政策大学院の学生向けに実施している霞が関インターンシップの一環でした。

 

私が配属された保険局保険課はマイナンバーカードの健康保険証利用など、目下重要な案件に多く取り組む必要がある部署でした。普段見ることのできない政策形成の最前線を見ることができる機会だと、興奮を抑えられないまま厚生労働省に向かいました。

■インターン内容

<1週目>
インターンでの主要な課題は「出産費用の見える化のためのサイトづくり」でした。
2023年4月以降、出産する女性に支払われる「出産育児一時金」が原則42万円から50万円に引き上げられました。しかし、その結果として医療機関が提示する出産費用そのものも値上がりするのではないか、という懸念がありました。そのため、妊婦が事前に費用やサービスを把握し、適切な医療機関を選ぶための環境の整備が必要となりました。その取り組みの一つが、出産費用を「見える化」するポータルサイトの整備であり、私はその内容・およびデザイン案を検討・提案することになりました。
また、そのポータルサイトのデザインを決定に向けた議論を行う第167回社会保障審議会医療保険部会にも随行しました。審議会の傍聴はできるのですが、今回は事前の関係団体との打ち合わせの段階から見ることができました。打ち合わせでは、関係団体の方が現場の「生の声」を訴え、厚生労働省の方がそれに真摯に向き合っていたのがとても印象的でした。審議会では様々な立場を代表した人が集まるので、議論が平行線をたどることも度々あります。そのような審議会でコンセンサスを得るためには、審議会の前段階にあるプロセスが重要だということを実感しました。

<2週目>

中央合同庁舎第5号館本館
(厚生労働省と環境省が入居)

インターンが2週目に入ると、若手職員の方々との面談がありました。学生1人に1時間ずつ1対1の形で、5人の職員の方と話すという、私にとってとても有難い機会でした。職員の皆さんが厚生労働省を志望した背景や業務内容を説明してくれたほか、私自身のキャリアについても相談できました。私自身の研究内容や分析スキルの現場での活かし方、霞が関が抱える問題点にいたるまで、少しでも不安や疑問に思っていることについて、現場で働く方々の視点での意見をもらうことができました。このことは、今後の学生生活やキャリアについて深く見つめ直すきっかけとなりました。
ポータルサイトについては、このあと実際に産婦人科医師でもある職員からフィードバックを受けたうえで、デザイン案を課長補佐や職員の前で発表する予定でした。しかし、残念ながらそれらはかないませんでした。2週目の水曜日にコロナウイルスに罹患してしまったからです。ただ、最終日に担当の方と電話でインターンを振り返るなど、最後の最後まで緻密なサポートを受けることができました。

 

■インターンを終えて

若手の職員の方々とランチ(インターン開始3日目)

近年は企業・NPOなどの民間セクターも政策形成に関わるようになりました。今や政策形成に関わるために官公庁に入る必要があるわけではありません。しかし、官公庁だからこそできる関わり方があります。特に多くの立場の人々が納得するような政策を、その実現に向けて作り上げていくことは霞が関にしかできないのではないでしょうか。そして、それこそが霞が関で働くことの最大の魅力だと実感しました。また、職員の方一人一人と話す中で、皆さんの仕事のやりがいや霞が関への熱い想いを聞くことができました。その想いに心打たれると同時に自分もやるべきことを頑張ろう、と奮い立たされました。

ちなみにOSIPPでは、この霞が関インターンを含めた各種インターンについて、インターン先を選ぶところから実施報告までのプロセスを単位として認定してくれる授業もあります¹。進学先を悩んでいる方には、OSIPPがこのように実務経験を積むことを推奨・サポートしてくれることも進学先の検討材料になるのではないかと思います。

霞が関インターンでは多くの職員の方が一人の学生に真正面から向き合ってくれ、霞ヶ関の日常や厳しさをありのまま感じられます。国家公務員を視野に入れている人にとって今一度自身のキャリアを考え直すまたとない機会になるでしょう。詳細が気になる方は人事院のホームページをぜひご覧ください。

(OSIPP博士前期課程 辻本篤輝)

※内容の公表に関して、厚生労働省の配属課の方に許可を得ています。

———————————————————————

¹OSIPPホームページ「OSIPPの特徴」※ 7. インターンシップ・プロジェクト の項目を参照してください。