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【院生投稿】OSIPPでの学生生活を振り返って(久保知生さん)

OSIPPでの学生生活を振り返って

私は2023年4月に大阪大学法学部国際公共政策学科からOSIPPに入学し、早期修了プログラムを利用して2024年3月に博士前期課程(修士課程)を修了します。ここではOSIPPでの生活を簡単に振り返りながら、大学院に進学することの意味を自分なりに述べたいと思います。(写真:左端が筆者)

 

編集員仲間の辻本さん(右側)・筆者(左側)

振り返ると、早期修了プログラムを利用して1年で修士課程を終えるというのは想像以上に大変で、いつも何かに追われていました。週に7日OSIPP棟に行く、という週も少なくなかったように思います。ただ、決して辛くはありませんでした。その理由の一つには、修士課程の編集員メンバーの仲が良かったことが挙げられます。よく授業の後で一緒にご飯を食べたり、リフレッシュルームで談笑したりしていました。思えば彼・彼女らと切磋琢磨した一年間でした(もちろん他の学生とも)。

このプログラムは学部4年次に10単位までOSIPPの単位を取得できるため、OSIPPに入学した時点でミクロ・マクロ・計量といった経済学のコア科目は取得済みでした。そのため、修士課程の1年間は、主にあらかじめ論文を読んでディスカッションをするような授業を履修していました。とりわけ秋冬学期は授業に出ながら修士論文を執筆していたため、飛ぶように時間が過ぎていきました。10月に学期が始まって気がつけば年が明け、修士論文の提出期限が迫ってきました。論文提出後はその忙しさから解放されたことで、1月の残り20日がまるで一年のように長く感じたことを記憶しています。 今になって思うと、かなり期限に追われていたのだと思います。

OSIPPで履修した授業の中でも、鎌田先生のEconomics of crimeとData Management and Analysisは本当に履修して良かったと思う授業でした。端的に言えば、洗礼を浴びたんですね。毎週のように自分の実力不足・理解不足を痛感しました。これらの授業を履修したことで、自分に課す「最低限」のレベルが上がりました。授業で扱ったことは就職後にも活かせると思うので、入社前に学べて良かったです。

最後に、修士課程修了を目前に控えた今、自分なりに思う大学院に行く意味を述べたいと思います。ここで想定しているのは、博士後期課程(博士課程)まで進むつもりはないけれど、修士課程には関心がある方です。修士課程で学ぶ意味を一つ選ぶとすれば、知らないこと・分からないことを自分で学ぶ力がつくということではないかと思います。学部生時代、私は大学院に進学すれば、知らないことをもっと知ることができると思っていました。でも、実際はそうではありませんでした。新たに学んだことが多いのも確かですが、それ以上に知らないことが増えました。そのときに、最低限のことだけ教えてもらって、あとは自分で勉強するというのが学びの本来の姿なのだということに気づきました。 

大学院に行かなくても、最近はネット上に情報があふれているから自分で勉強できるのでは?という意見もあると思います。でも、一人で勉強できていたとしても、使える知識として体系的に学べているとは限りません。複数のテキストを渉猟しながら体系的に物事を理解するというのはなかなか難しいように感じます。一方で、大学院では授業資料や、違った角度からの先生の一言で急に理解が深まったりすることが良くあります。

大学院といえば何やら難しいことをする場所、というイメージがあるかも知れませんが、知らないことを学ぶ上でのベースになる知識を身につけるには最適の場所だったと改めて感じています。4月からは民間企業に就職しますが、OSIPPで身につけた力をさらに伸ばせるように頑張ります。

(OSIPP博士前期課程 久保知生)

【院生投稿】久保知生さん(OSIPP博士前期課程・早期修了プログラム)

友人達との旅行にて(2024年2月)