修了生

【院生投稿】OSIPPでの学生生活を振り返って(花山愛歩さん)

私は2023年4月にOSIPP博士前期課程(以下、修士課程)に入学し、早期修了プログラムを利用して2024年3月に修了しました。この1年間はOSIPP News編集員としても活動し、 自分の研究分野を超えてOSIPPの行事や交流を取材したり修了生の方にお話しを聞いたりと、編集員だからこその貴重な機会を得ることができました。(写真:学位記授与式にて)

 

 

ここでは私自身のOSIPP生活を簡単に振り返ってみようと思います。現在OSIPPに在籍している皆さんやOSIPPに興味のある方に少しでも役立つ情報になれば幸いです。

 

研究生活

OSIPPランチセミナーでの発表時の様子

OSIPPでの1年間(2023年度の編集員には早期修了プログラム利用者が例外的に多かっただけで、2年間が全くのマジョリティです!)は、修了した今振り返ると予想した以上にせわしない日々を送っていたなと思います。しかし同時に、中だるみをする暇もなく、計画的に分析を進めたり修士論文に役立つ授業を履修したりと効率よく学生生活を送ることもできたかなと思います。

簡単に一年間の流れを書くと、春夏学期は6~7コマの授業を履修しつつ、修士論文のテーマに関するデータの収集・クリーニング、大まかな分析を行いました。夏期休暇は細かな分析を行い、秋以降に論文執筆にとりかかるための分析結果をそろえる日々でした。秋冬学期は2~3コマの授業履修と論文執筆作業を行いました。大学院の授業は、授業時間内の学習よりも授業外での予復習や課題レポートの作成がメインで、授業と論文用の分析を行っている時は基本的に毎日朝から晩まで学内で過ごしていました。

友人との卒業旅行(2024年2月)

こう書くとただただ大変な日々に聞こえるかもしれませんが、私はデータを整理したり、分析用のコードを書いたりする作業が楽しく、それが他の授業課題の息抜きにもなっていました。どうすれば研究デザインに沿ったデータになるか、どんな変数を入れると新たな発見があるかと試行錯誤しながら分析を進めるという、とても充実した毎日でした。一方で、秋以降の論文執筆は私にとってはとてもチャレンジングなものでした。早期修了プログラムの大変なことの一つに、修士論文に取り掛かる前に論文執筆の練習や既存の文献を読むといった基礎的な学習に集中する時間があまり十分には取れないということがあるかもしれません。2年間修士課程に在籍する場合、1年次にコア科目や基礎科目を履修して大方の単位を取得し、研究・論文執筆に必要な知識を身に着けます。そして2年次(特に秋冬学期)はほとんどの時間を論文執筆に費やすことができます。しかし、1年間でその工程を終える場合は論文執筆と並行して授業を履修するので、インプットしてすぐにアウトプット、という感じになります。特に私は分析を一通り終えてから論文のストーリーラインを考えるタイプで、気が付けば最後の1、2カ月で論文を書き上げることになり、駆け足の日々でした。あっという間に 過ぎていった1年間の研究生活でしたが、終えてみると達成感と少しの寂寥感を覚えるくらい楽しい毎日だったなぁと思います。

そんな修士課程を経て私が強く感じたことは、「自分の疑問に自分でなんとか答えを与える」力の大切さです。「大学院では、知識を獲得する側から生み出す側にならなければいけない」とよく言われますし、実際にその通りです。しかし、それは何もない所からアイデアが生まれ、それを実証して論文に書き起こす、というような魔法の作業ではなく、むしろ、すでにある無数に点在する知識を「自分なりの方法で結びつけること」によって新しい答えを生み出すことなのだろうと思います。そのためにはまず、できるだけ多くの“点”を知っておく必要がありますし、それぞれの点の位置や大きさを知らないことにはうまくつなげることができません。論文を書いている時はこの点と点の間にどんな線が書けるだろう?とずっと考え続けていた気がします。それらの新しいつなぎ方が「自分の答え」であり「知識を生み出す事」なのではないかなと感じます。頭がパンクしそうになることも少なくないですが、パズルを解くような面白さもあります。

 

就職活動

修士課程修了後、私は調査分析系の民間企業に就職します。就職活動は、学部4年次の夏ごろからインターンに参加し、2月ごろに今の就職先に内定を頂いて終了しました。法学部国際公共政策学科から早期修了プログラムを利用してOSIPPに進学しようと考えている人は、学業との兼ね合いも鑑みてOSIPP入学前にある程度就職活動の目処を立てておくと良いのではないでしょうか。業界にもよりますが、院卒区分での就職活動になるので(おそらく)学部卒での就職活動よりも研究分野や研究内容をしっかりと説明することが求められるかと思います。入学前から研究の大まかな構想を練っておいたり、少し分析や文献調査をしておいたりすると就職活動・論文執筆ともにスムーズに進められるのではないかと思います。

 

最後に

学位記授与式後、編集員仲間と一緒に

OSIPPで過ごした1年間はたくさんの人に囲まれていたなぁと思います。OSIPPは学生同士とてもオープンな雰囲気なので、自分の研究が行き詰ったり疲れたりした際はリフレッシュルームで誰かとおしゃべりをしてガス抜きをしていました。また、図書館に行けばスタッフの方々がにこやかに迎えてくれましたし、研究で行き詰れば主査副査問わずたくさんの教員からアドバイスを受けることもできました。また、編集員の仲間たちとお昼を一緒に食べたりくだらないことを喋って大笑いしたりする時間が日々の小さな楽しみでした。4月からは社会人になり立場も環境も大きく変わりますが、明るく楽しくやっていこうと思います。一年間ありがとうございました!