著書・論文

5月の研究業績

OSIPP基幹講座教員の5月の研究業績をご紹介します。

・大久保邦彦 先生
・中嶋啓雄 先生

 

 

 

大久保邦彦(論文)

「四宮不法行為法理論の内的体系」『阪大法学』第74巻第1号(2024年5月)
https://ir.library.osaka-u.ac.jp/repo/ouka/all/95805/hh074_1_031.pdf

概要:本稿は、科学研究費補助金の助成を受けた「民法解釈における法原理の諸相と機能」という研究課題の一環をなすものである。本研究課題については、別稿(「『法の内的体系』鳥瞰図」阪大法学73巻2号)で総論的な考察を行ない、法理念・法原理・立法趣旨・法ルール等を要素とする「法の内的体系」のモデルを提示した。本稿は、別稿での考察を前提にして、「日本民法の内的体系」を言語化する各論の手始めとして、四宮和夫の不法行為法理論を取り上げ、それを「法の内的体系」のモデルの中に位置づけることを試みた。具体的には、不法行為法に関する四宮の全著作から法原理を抽出し、解釈に際して法原理が作用していることを示し、法原理がどのように衡量されているかを明らかにした。また、前提となる作業として、四宮不法行為法理論の基礎にあるミュンツベルクの学説をやや詳細に紹介した。さらに、刑事(訴訟)法学者の鈴木茂嗣による本質論・根拠論・認定論という議論の位相の区別を導入し、違法論を整理した。

 

中嶋啓雄(論文)
「アメリカ孤立主義の系譜とトランプ共和党の論理」『外交』85号(2024年5/6月)30~35頁
(査読なし:招待)http://www.gaiko-web.jp/

概要:第2次世界大戦を契機に孤立主義が後退し、アメリカ合衆国は国際主義に舵を切ったが、オバマ政権以降、国際的関与からの撤退や選択的関与が、与野党を問わずアメリカ外交に底流のように存在している。しばしばアメリカの孤立主義を象徴するとされるモンロー・ドクトリン(モンロー主義)も、200年前に宣言されて以来、内外の情勢によってその政策的含意が大きく変化し、「大陸主義」や時に「国際主義」の側面さえ持った。そうしたなかで、今日のアメリカの孤立主義のありようを、トランプ前大統領の対外政策にまで連なるモンロー・ドクトリンの変化の動態と条件を参照しつつ、トランプ党化した共和党の論理を中心に歴史的な比較も踏まえて検討する。

 

大久保邦彦(その他の記事)

「時効の更新・完成猶予」『判例講義民法Ⅰ 総則・物権 第3版』勁草書房(2024年5月) https://www.keisoshobo.co.jp/book/b645951.html

※学生向けの判例教材

 

※論文に関しては、特に記載のないものは(査読なし)です。