2024.11.29
記念式典・祝賀会
2024年11月1日、大阪大学中之島センター佐治敬三ホールにおいて、大阪大学大学院国際公共政策研究科(OSIPP)創立30周年記念大会の一環として記念式典と祝賀会が開催された。
(写真:(左)西尾章治郎総長・(右)祝賀会の様子)
◆ 記念式典 ◆
シンポジウムに続いて行われた記念式典では、まずは大阪大学の西尾章治郎総長より祝辞が述べられた。総長は、OSIPPを「世界を舞台に活躍する公共政策のプロフェッショナルの養成を目的として1994年に創立された、我が国で初めて“国際公共政策”の看板を掲げた大学院である」と紹介した。また、国内外に山積する喫緊の課題の解決には斬新な発想とリーダーシップが求められていると述べ、その人材を育てるべく、OSIPPがこれまで30年間、一貫して法学・政治学・経済学の学術的かつ実践的な知を総合し、現代の日本や国際社会が直面する公共的な政策課題に取り組んできたことを受けて、これまでの発展に尽力した方々への謝意を表した。最後に、傑出した実績と特徴を持つOSIPPが今後も社会と大学との結節点(ハブ)となり、本学が目指す「生きがいを育む社会」の創造の実現に向けてさらなる発展を遂げるものと大いに期待していると述べた。
次に、OSIPP創立当時、大阪大学経済学部に客員助教授として在籍しており、現在は政策研究大学院大学(GRIPS)学長を務める大田弘子先生が登壇した。大田先生は、OSIPP創立当時に実際の経済政策に関心を深めたことや、その後、小泉内閣のときに内閣府に出向して官僚を務め、安倍・福田内閣では閣僚として政策の現場に身を置くことになった経験から、政策決定過程(ポリシー・メイキング・プロセス)全体の設計の重要性を感じ、政策研究は学際的であると同時に、多くのケースから学び続けなくてはならない領域だと痛感していると伝えた。また、世界が分断を深めるいまだからこそ、インド太平洋の窓口であり、先進国とグローバルサウスをつなぐことのできる国であり、何より成熟した民主主義国家として、自由で冷静な議論ができるこの日本で政策を学ぶ意義が高まっていると説き、その後、改めて創立30周年へのお祝いの言葉を述べた。
続いて、外務省大阪分室政府代表 特命全権大使(関西担当)の姫野勉氏がお祝いの辞を述べた。まず、大阪大学や国際公共政策研究科との深いつながりとして、大阪大学法学部の卒業生であること、外務省入省後の2006年から2008年まで、OSIPPで専任教授として勤務していたことを紹介した。次に、OSIPPの特徴として、学際性・国際性・実務性・実践性を挙げられると述べ、法律・政治・経済をはじめとする多分野との協働研究、国境を越えた連携、そして実践的な問題解決能力を持つ人材の育成を担えるという特徴は、OSIPPにとって重要な強みとなっていると説明した。加えて、2025年4月から10月にかけて開催される大阪・関西万博について、世界の諸課題に対する解決策を共に見出していくプロセスとして位置づけられており、万博開催中だけではなく、開催後も協力を賜りたいと述べた。
最後に、国際連合システム合同監視団(JIU)監査官/国際公共政策研究科招へい教授の星野俊也先生が、ジュネーブからオンラインで祝意を表した。まずは、修了生が多くの大学や実務の現場で活躍していることを誇りに思っていると述べ、次に創立にあたってのエピソードを二つ紹介した。OSIPPは、大阪大学の法学部と経済学部の教員が旧教養部の教員と共に設立したユニークな高等教育・研究機関としてスタートしたものであり、法政系と経済系を結びつけるなかで“既存の学問の枠に縛られない新しい大学院を作る”という強い情熱を持ったファウンディング・メンバーが、共通の基盤として選んだキーワードが「国際」と「公共」と「政策」だったということ、もう一つは、通常であれば大阪大学の中の一つのGraduate Schoolを名乗るところを、敢えて「Osaka School」と呼び、あたかも独立した一つの研究教育機関のような名前にしているところであり、ここに大阪大学の権威や威光だけに頼らず、自分たちの力で世界に通用する公共政策の大学院大学になろう、という決意が表れていると説明した。「OSIPPらしさ」とは、高度な研究や最新の情報を通じて物事の本質を見極め、政策や実務に携わる人々とのコミュニケーションを欠かさず、いつも誰かのため、世界のため、未来のために、現実的な「ソリューション」となるアイデアやリーダー人材を生み出すことであり、これまでの30年の実績を基に、知的貢献と人材育成において今後OSIPPがさらに大きな役割を果たすことを期待すると述べた。
◆ 祝賀会 ◆
記念式典に続いて行われた祝賀会は、中之島センターのサロン・アゴラに場所を移して開催された。大阪大学理事・副学長の田中敏宏先生による祝辞の後、OSIPP同窓会「動心会」会長である辻本賢氏の乾杯で幕を開けた。再会を懐かしんだり、近況を報告し合ったりと会場は歓談で華やぎ、同時に修了生である田中弥生氏(会計検査院院長)や中林美恵子先生(早稲田大学教授)ほか、各界で活躍中の方々からのメッセージ映像も届けられた。その後は当日参加していた元研究科長の野村美明名誉教授、高阪章名誉教授、松野明久名誉教授からもお祝いの言葉が添えられた。修了生が語る懐かしい話題や近況とともに「OSIPPで学んだことが今の仕事に活かされている」という声が多々寄せられたことが印象的であった祝賀会も盛会のうちに終え、OSIPP30周年記念大会の全てのプログラムが無事に終了した。