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タイ王立研究所(King Prajadhipok’s Institute)代表団 来訪

 2016年1月19日、タイ王立研究所(King Prajadhipok’s Institute)代表団約30名がOSIPPを表敬訪問し、松繁寿和教授と蓮生郁代教授が日本の現状に関して講演を行いました。

 松繁教授は、男女の平等性と日本企業における人材管理に関して、先進国に共通する高齢化の傾向を指摘した上で、日本でも多くの高齢者が医療・介護面で支援を必要としていながら、少子化ゆえに高齢者を支える人材が不足している現状を指摘しました。

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その上で、日本の労働市場について、近年では男性の失業率が増加していることに加えて、労働の意志があるにもかかわらず労働力として携わることができない女性の増加がみられると述べました。また、男女雇用機会均等法を中心に関連法の整備が行われてきたが、管理職や専門職に従事する女性の割合がいまだ不十分であることも指摘し、日本をはじめ高齢化に悩む多くの国ではいかに女性を労働力として活用するかが重要である旨を述べました。

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 蓮生教授の講演は、安倍政権の下で2015年に改定された政府開発援助(ODA)に関する大綱に関するものでした。蓮生教授は改定された新たな「開発協力大綱」が従来のODA大綱と異なる点として、ODAの積極的・戦略的な活用が謳われ、日本の官民間や現地政府等との間での協力関係構築を促進し、より積極的な開発協力を行うことが確認されたことなどを指摘しました。これら指摘を基に蓮生教授は、日本とタイは従来はODAのドナーとレシピエントの関係にあったが、現在ではパートナーとしてタイ国内や東南アジア地域において生じた問題の解決に向けて共同で取り組むようになった、と日本とタイの関係性の変化を指摘しました。

 両教授の講演後には代表団の研究員から、日本企業や官公庁における育児休暇の制度や現状への質問があり、またタイと日本では開発に関してどのような分野で有効な協力が行われ得るのかについて活発な議論が行われました。

(OSIPP博士前期課程 中田 淳)