教員紹介:才田友美 助教
2020.9.7
2020年4月より、国際公共政策研究科助教として着任した才田先生を紹介します。才田先生は日本銀行にて通算13年、経済調査等の業務に従事した後、一橋大学において経済学博士号を取得し、2020年4月に国際公共政策研究科助教として着任しました。
現在取り組んでいる研究内容について教えてください:
私はこれまで不動産市場の価格メカニズムの分析を行ってきました。最近は、建設物価指数についての分析を進めています。これは国民経済計算(SNA)における建設業のGDPや資本ストックを実質化するためのデフレーターとして問題があるのではないかという世界的な議論とも関連しています。現在の指数は材料の値段(インプット価格)に基づいて推計されており、建設活動によって生じる営業余剰が反映されていないなど数々の問題があります。そこでアウトプットベースの物価の構築に向けて分析を進めています。
この研究に取り組むことになったきっかけをお聞かせください:
私は大学を卒業後、日本銀行に入行し、調査統計局に通算13年間勤務していました。入行してまもなく、バブル崩壊後の不良債権問題について分析したことがきっかけで、この問題に深く関わる不動産価格の決定について興味を持ちました。
この分野の魅力や面白さはどのような点でしょうか:
経済学は私たちの生活に密着している学問なので、その分析ツールが身につくと、日々直面する事象について洞察力が高まり、毎日が少し面白くなります。また、日銀の金融政策決定会合に代表されるような政策決定プロセスに関わりを持つことができることは大きな魅力だと思います。
学生時代にやっておくべきことは何であるとお考えですか:
社会に出てからのビジョンを明確にするために、できるだけ様々な業種の先輩の話を聞く機会を作ることが重要だと思います。自分が進もうと思った世界だけでなく、少し違った世界にも目を向けて、大学院で得た知識やスキルをどんな形で社会に還元していけるのかを考えながら院生時代を過ごしてみてください。
最後に、先生の指導スタイルについて教えてください:
私の授業では理論についての理解を深めるのと同時に、実際の経済問題に触れてもらうため、新聞記事などを解説しながら読み進めていくスタイルを採っています。専門用語や関連統計についての解説を行うことで、経済分野への苦手意識を無くしてもらい、経済学の魅力を知ってもらおうと努めています。
(OSIPP博士後期課程 内輪雅史)
インタビュー実施2020年7月
助教 才田友美(さいた ゆみ)
学位 博士(経済学)
研究テーマ:不動産市場のダイナミクス
専門分野:マクロ経済、不動産価格、建設物価
<代表的な業績>
・“Aging and real estate prices: evidence from Japanese and US regional data,” International Journal of Housing Markets and Analysis, vol.9, Issue 1, pp. 66-87, March 2016, (co-authored with Chihiro Shimizu and Tsutomu Watanabe)
・不動産市場のファンダメンタルズ, 金融庁金融研究センター ディスカッションペーパー DP2019-4, 2019年9月.(井上智夫・清水千弘との共著)
<参画している研究プロジェクト>
・不動産市場とマクロ経済:大規模ミクロデータを用いた解明(令和2年度科学研究費助成事業[基盤A])