Works著書・論文

7月の研究業績

OSIPP基幹講座教員の先月の研究業績をご紹介します。

・大久保邦彦先生

・中嶋啓雄先生

・赤井伸郎先生

 

 

大久保邦彦
「時効障害の効力の人的範囲の拡張根拠」『阪大法学』第70巻第2号、2020年7月発行

概要:時効障害の効力の人的範囲については、①時効障害は相対効しか持たないことを原則としながらも、効力の人的拡張を例外的に認めていく立場(判例・通説)と、②時効障害の絶対効を認める立場(松久)とが対立しているが、①の立場は、通例、効力の人的拡張を認める根拠として、法律の規定のほか、事物・事柄の性質、公平の観点等を挙げるにとどまっている。それに対し、スイスのスピロは、①の立場を前提としつつ、効力の人的拡張を認める根拠として、ⓐ代理権・授権、ⓑ全体消滅時効、ⓒ善意保護を挙げ、他人効を発生させる一般理論との接合を図っている。そこで本稿では、スピロの挙げる根拠を紹介し、連帯債権・不可分債権、合名会社、責任保険、連帯債務、保証債務という個別事例に即して検討を加え、それの日本法への受容可能性を探究した。

 

中嶋啓雄
秋田茂、桃木至朗編『グローバルヒストリーから考える新しい大学歴史教育:日本史と世界史のあいだで』(第四章 戦間期文化国際主義と「新渡戸宗の使徒」を執筆担当)大阪大学出版会、2020年3月発行

概要:後に国際連盟事務次長を務めた校長・新渡戸稲造を恩師と仰いだ第一高等学校(一高)出身の自由主義者たち、いわゆる「新渡戸宗の使徒」の活動を、両大戦間期に欧米を中心に開花した「文化国際主義」(入江昭)の文脈に位置づけつつも、とりわけアジア・太平洋地域における諸問題との関係で彼らの活動、また戦間期文化国際主義そのものの限界を論じた。その上で、戦後に継承された戦間期における「新渡戸宗の使徒」の活動の遺産にも言及した。

 

赤井伸郎
対談「ISFJの活動から見る経済論文を書くコツ」『経済セミナー』No.715、2020年8・9月号(7月発行)

概要:経済論文の書き方[実証編]の特集号において、学生による論文執筆と、政策提言論文大会(ISFJ)での発表への取り組みについて紹介した。
阪大チームの活躍についても紹介した。
https://www.web-nippyo.jp/19663/
阪大卒業生のコメント「実証分析を好きになったきっかけ:経済論文の書き方[実証編]付録」
https://note.com/keisemi/n/n8adc006ac5f9