教員紹介:須永美穂 助教
2020.7.27
OSIPP経済系教員である須永美穂助教にインタビューを行いました。須永先生は大阪大学において経済学博士号を取得した後、日本学術振興会特別研究員(PD/ 京都大学)として研究を重ね、2020年4月に国際公共政策研究科助教に就任しました。
今取り組んでおられる研究内容について教えてください:
私は現在、少子高齢化がマクロ経済に与える影響について、若年世代と高齢世代の経済活動に着目して研究しています。特に最近の実証研究では、人は年を重ねれば重ねるほどリスクを取らなくなることが示されていたことから、それに応じたマクロ経済モデルを構築しました。そのモデルから、高齢世代がリスクのある経済活動に取り組まないと少子高齢化という人口動態に変化が生じたとき、資本が蓄積されないということが分かりました。
この研究に取り組むことになったきっかけをお聞かせください:
少子高齢化は先進諸国がそろって抱える大きな問題で、マクロ経済学の視点からも長い研究の蓄積があります。経済を成長させる上で、投資などのリスクのある経済活動は必ず伴ってきます。そういったリスクをどのような層が担っていくべきかについて興味を持ったのがきっかけです。
この分野の魅力や面白さはどのような点でしょうか:
この研究テーマは我々が現在直面している深刻な問題の一つです。そういった問題に対してマクロ経済学の視点から提言を行っていくことに必要性と魅力を感じて取り組んでいます。
大学院でこの分野を研究していくためには、どういった勉強をしておく必要がありますか:
経済学の分野全体で、OSIPPは履修カリキュラムが極めてきめ細かく用意されていますので、それにしっかりと向き合ってください。マクロ経済学やデータ分析などのそれぞれのテーマの研究を進めていく上で、困難に直面することもあると思いますが、経済学全般についての幅広い知識を学ぶことで、そうした困難を乗り越えるのに必要な基礎体力も身につきます。
最後に、先生の指導スタイルについて教えてください:
数理的な部分については、基礎からしっかりフォローするように心がけています。マクロ経済学については、時事問題、データを提示しながら考え方を伝えていきます。
<推薦図書(論文)>
・伊藤公一朗『データ分析の力 因果関係に迫る思考法』光文社、2017年。
・Kiyotaki, N., & Moore, J. (1997). Credit Cycles. Journal of Political Economy, 105 (2),
211–48.
・(エッセンスをつかみたければ)二神孝一、堀敬一『マクロ経済学 第2版』有斐閣、2017年。特に17章を参照。
(OSIPP博士後期課程 内輪雅史)
助教 須永 美穂(すなが みほ)
学位:博士(経済学)(大阪大学)
研究テーマ:資金市場や金融システムに焦点をあてたマクロ経済分析
専門分野:マクロ経済学(キーワード:少子高齢化,資金市場,リスク,マクロ経済)
<代表的な業績>
・Sunaga, Miho. 2017. “Endogenous growth cycles with financial intermediaries and entrepreneurial innovation.” Journal of Macroeconomics, vol. 53, pp. 191-206.
・Sunaga, Miho. 2019. “A Schumpeterian growth model with financial intermediaries.”
Macroeconomic Dynamics, vol. 23, pp. 1679-1702.