セミナー・シンポジウム

薮中三十二特任教授OPEN教室「The current International Situation and Japan’s Path forward in the midst of US-China Confrontation」

2021年7月12日、OSIPP棟2階講義シアターにおいてOPEN教室「The current International Situation and Japan’s Path forward in the midst of US-China Confrontation」が、対面とZoomのハイブリッド形式によって、10時30分~12時、13時30分~15時の二部制で行われた。

 

 

大阪大学法学部OBで元外務事務次官の薮中三十二特任教授が、米中対立構造の中での国際情勢と日本の進むべき道について語った。

はじめに、中国が東アジアにおける「キープレイヤー」であること、またアメリカに対する唯一かつあらゆる意味での競争者であることを強調したうえで、日本が東アジアの安定、インド太平洋地域の安定、経済的な協力と競争について、どのように対応すべきかに議論を深める必要があると説いた。

特に午前中の講演では、日中関係の課題を説明するトピックとして、台湾海峡に関わる問題を取り上げた。台湾海峡の平和と安定は日本の安全保障や物資の運搬に非常に重要であるため、海峡が不安定になる度に日米が安定の回復に努めてきたこと、これからもその必要があることを語った。また、麻生副総理やバイデン大統領など、日米の要人の発言を丁寧に紹介した。麻生副総理の台湾の安定を非常に強調する発言と、アメリカの台湾を独立国家として認識していないことを改めて発信するという“米中対立構造の緩和”を狙う発言を比較して、日米の微妙な立場の違いを説明した。

筆者は昨年12月に行われた薮中特任教授のOPEN教室「Japan-China Relations in Light of the U.S. Presidential Election」にも参加している。その際にはバイデン氏の米大統領選当選から間もない時期だったので、バイデン大統領の誕生によって米中関係が今後どう変わるのか、という「推察」について拝聴した。今回はその「答え合わせ」とも言える講演になっており、非常に興味深い内容であった。

(OSIPP博士前期課程 岡春陽)