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2021年度口頭報告審査会および博士論文進捗状況報告会

2021年度口頭報告審査会および博士論文進捗状況報告会


2021年12月7~9日、博士前期課程(修士)・博士後期課程(博士)論文の「2021年度口頭報告審査会および博士論文進捗状況報告会」がオンライン形式で開催された。
(写真:右側が発表者の岡春陽さん・左側が主査と副査の先生方)

 

 

口頭報告審査会では、修士号申請者36人と博士号申請者7人が発表し、博士論文進捗状況報告会では、来年度の博士号取得を目指す学生23人が、日々の研究の成果について報告した。 2021年度の修士号申請者の一人である岡春陽さんは「市町村職員の男女の労働格差の実証分析−市町村合併に着目して−」と題した論文で、市町村合併が市町村職員における男女の労働格差を助長するかについて差の差分析法によって検証していた。岡さんからの約15分のプレゼンテーションの後、副査を務める鎌田拓馬准教授は「空間的ミスマッチを公共経済学の分野に応用した点が有意義である」と評価した一方、「研究から得られた結果から、どのような政策的なインプリケーションがあるのか」といった鋭い問いが提示された。また、副査を務める村上正直教授からは「合併が女性の労働供給を減少させたという結果を受け、男女間の格差がない社会を目指すのか、それとも男女間のギャップと共存する社会を目指すのか」といった現代社会を考える上で非常に重要な問いが投げかけられた。最後に主査の赤井伸郎教授は「分析の結果から、単に市町村合併が女性の労働供給を減少させているという結論を出すだけでなく、合併を考慮する際には、女性の労働市場の改善にとっても望ましい方向性を模索していく必要がある」と説いた。

この口頭報告審査会および博士論文進捗状況報告会の一人当たりの時間は博士前期課程の学生であれば20分、博士後期課程の学生であれば40分間である。限られた時間ではあったが、論文執筆に向けた非常に内容の濃い議論がなされていた。また、前年度に引き続き今年度もオンラインで開催されていたので、予め設置されたZoomのルームに自由に出入りができ、自分の関心のある分野についての報告会に参加することができた。筆者は複数の報告会に参加し、口頭報告審査会がどのようなものなのかを知ることができたので、大変有意義な機会になった。

(OSIPP博士前期課程 藤本忠良)

 

2021年度の博士号申請者の一人であるZamani Ahmad Zakyさんは7日、「Essays on responses of taxpayers to tax policy changes in Indonesia」(邦題:インドネシアの税制変更に対する納税者の対応に関するエッセイ)という題目の論文を報告した。2008年の税制改正では納税者は緩やかに反応し、徴収額は減少すること、2013年のターンオーバー税の導入では閾値周辺企業は税負担を最小化させようと行動するが収益効果はマイナスになること、2008年以降の二重税率によって非効率と不公平が生まれていることを報告し、主査の赤井伸郎教授をはじめとする審査教員からの質疑をうけた。

(OSIPP博士前期課程 中瀬悠)