セミナー・シンポジウム

第14回関西安全保障セミナー開催

第14回関西安全保障セミナー開催


2022年12月2日、大阪大学豊中キャンパスにある大阪大学会館にて、一般財団法人 平和・安全保障研究所(RIPS)と大阪大学大学院国際公共政策研究科(OSIPP)の共催により「第14回関西安全保障セミナー」が開催された。

 

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中西寛先生(京都大学)の講演の様子

冒頭、徳地秀士氏(RIPS理事長)および星野俊也先生(OSIPP教授)より開会挨拶があったのち、中西寛先生(京都大学大学院 教授)が「大国間競争時代の日本の国家安全保障戦略」と題した基調講演を行った。まず中西先生は、自身もメンバーである「国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議」での議論を紹介しつつ、世界の大きな流れ及び日本を取り巻く安全保障環境について説明を行った。その上で国家安全保障・防衛体制の課題を防衛予算、防衛大綱、継戦能力、有事シナリオなどの論点ごとに指摘し、今後日本が向き合うべき課題やどのような方向性を示すべきかなどについて大局から細部に至るまで包括的に論じた。

 

次のパネルディスカッションでは星野先生の司会のもと、中西先生、木場紗綾先生(神戸市外国語大学 准教授)、永岩俊道氏(元航空自衛隊 航空支援集団司令官)、姫野勉氏(外務省 特命全権大使 関西担当)らがパネリストとして登壇した。研究者、自衛官、外交官としてそれぞれの立場や知見・経験をもとに、東南アジアとの関係や自衛隊の現場、人間の安全保障など多角的な議論に及んだ。質疑応答でも、参加者より日韓関係、民間レベルでの協力、防衛装備、憲法改正、有事シナリオ、軍事研究など多岐にわたる質問が寄せられ活発に意見が交わされた。

日本の安全保障の方針を示す戦略3文書と呼ばれる「国家安全保障戦略」「防衛計画の大綱」「中期防衛力整備計画」が改訂を間近に控えており、大変時宜にかなったセミナーであった。また多様な分野の専門家による分析および提言から多くを学ぶ機会であったと共に、多数の阪大生のみならず多くの一般の方々も参加し活発な議論が展開され、その注目度の高さが伺えるセミナーとなった。

(OSIPP博士後期課程 平野歩)