セミナー・シンポジウム

世界銀行キャリアセミナー「世界銀行への道」
世界銀行東京事務所 上級対外関係担当官 大森功一氏

2023年1月11日、大阪大学豊中キャンパス法経講義棟で世界銀行キャリアセミナー「世界銀行への道」が開催された。本講演は、OSIPPの蓮生郁代教授が担当している法学部開講科目「国際機構論」という授業の一環で行われた。講演には約60人の学生が参加し、世界銀行東京事務所 上級対外関係担当官である大森功一氏(左写真)が主に世界銀行への就職について話した。

 

 

講演は、司会の蓮生先生による大森氏の紹介から始まった。大森氏は2000年に世界銀行に入行し、東京事務所にてNGOや民間企業との連携構築を担当した。また2010~2014年には南アジア地域担当副総裁特別補佐官を務め、南アジア各国向けの助言プラン実行支援プログラムのとりまとめを行った後、2015年より現職に就いているとのことであった。

大森氏は、まず自己紹介として自身が国際機関と接点を持ったときの経験を述べた。次に、IBRD(国際復興開発銀行)とIDA(国際開発協会)から構成されていることなど世界銀行の概要や、戦後復興の際の融資に始まる世界銀行と日本との関係について話した。日本との関係に関しては、戦後、日本は世界銀行による融資を受けて東海道新幹線や東名高速のようなインフラを構築し経済成長につなげたことや、その後、日本は借入金の全額を返済し、現在は世界第2位の資金を出資しているといった内容であった。それに加えて、大森氏は世界銀行が行う融資の“プロジェクトサイクル”について、具体的にどのような流れで世界銀行が途上国政府を支援するのかを説明した。今回はキャリアセミナーということもあり、講義の後半には採用に関して、世界銀行が求める人物像やキャリアパスの具体例などについて話した。講義の最後には質疑応答の時間が設けられ、講演後には大森氏と受講者たちによる懇談会が行われた。

世界銀行でのキャリアについて具体的に想像できる講演であり、学生たちが将来のキャリアを考える上で大変有意義な時間になったのではないかと感じた。

(OSIPP博士前期課程 千馬あさひ)

世界銀行(日本)ホームページ

<大森功一氏ご経歴>
2000年に世界銀行に入行し、東京事務所にてNGOや民間企業との連携構築を担当。2010年より2014年までワシントン本部にて南アジア地域担当副総裁特別補佐官を務める。主な業務としては、南アジア8カ国向けの融資・技術協力・助言を統括する世界銀行副総裁の日々の業務全般の準備・実行支援の他、地域プログラムやリーダーシップチームによるプログラムの取りまとめ等。2015年より現職。日本における世界銀行のアウトリーチ活動全般を主導しつつ、上智大学(2019年-)および東海大学(2021年-)での非常勤講師を兼任。立命館大学法学部卒、同大学院国際関係研究科修士課程修了、アメリカン大学国際関係大学院修士課程修了。