セミナー・シンポジウム

松浦晃一郎氏(第8代ユネスコ事務局長)オープン教室
「グローバルキャリアへの道」

松浦晃一郎氏オープン教室「グローバルキャリアへの道」


2023年1月18日に、豊中キャンパス法経講義棟において松浦晃一郎氏(ユネスコ(国連教育科学部文化機関)第8代事務局長・大阪大学客員教授)による「グローバルキャリアへの道」と題した特別講義が行われた。

 

 

本講演はOSIPPの蓮生郁代教授が担当している法学部開講科目「国際機構論」及び一般開放のオープン教室として開催された。講演には約70人が参加し、グローバルな活躍を希望する場合にどのような能力が必要なのか、また、その為に学生時代に始めておきたいことなどについての内容であった。

講演は、蓮生先生による挨拶及び松浦氏の紹介から始まった。松浦氏は外務省入省後、経済協力局長、北米局長、外務審議官を経て、駐仏大使、世界遺産委員会議長などを歴任した後、アジア人初のユネスコ事務局長を務め、現在も多方面で活躍しているとのことであった。

松浦氏は講演の冒頭で、自身が学生だった頃を振り返り、当時はグローバルに働くには外務省か、もしくは商社に勤務するという少ない選択肢しかなかったことを紹介し、一方で、現在は様々なポストが増えていることを話した。次に、自身の経験を踏まえてグローバルに働くために重要なことを示した。具体的には、英語4技能(聞く・話す・読む・書く)を高いレベルで身に着けることはもちろんのこと、日本や海外にアンテナを張ってそれぞれの地域の歴史・政治・経済・文化といった知識を身に着けること、国際社会における日本の立ち位置を学ぶこと、国家や世界が抱えている問題を勉強してその対応策の検討や議論ができるようになることが大事であると述べた。松浦氏は、中学生の頃から外国文学を通じて海外には興味を持っていたものの、欧米の一部の国々の文学ばかりでアジアの小説を読まず、アジアについての勉強を十分にしなかったことを外務省に入省してから後悔した経験を振り返り、様々な地域について広く学ぶ重要性を強調した。また、英語については、読み書きも重要であるが、実際に英語で議論する必要があるので聞く力と話す力も大事であると述べた。講義の最後には質疑応答の時間が設けられ、学生たちは積極的に質問した。

松浦氏のように、実際にグローバルに働いていた方の話を聞くことで、グローバルキャリアを歩むために今何をすべきかを、講義を聞いた学生は具体的にイメージすることができたのではないかと感じた。

(OSIPP博士前期課程 千馬あさひ)

<松浦晃一郎氏ご経歴>
山口県出身。東京大学法学部を経て、外務省入省。米国ハヴァフォード大学経済学部卒。経済協力局長、北米局長、外務審議官(先進国サミットのシェルパ兼任)を経て駐仏大使、世界遺産委員会議長、アジア初のユネスコ事務局長(第8代)を務める。在任中は組織改革を断行し、米国の加盟復帰実現や、無形文化遺産保護条約の策定など多くの業績を残している。帰国後、立命館大学学術博士号を取得。現在はアフリカ協会会長、日仏会館名誉理事長、パリ日本文化会館運営審議会共同議長、群馬草津国際音楽協会代表理事、大阪大学国際公共政策研究科客員教授、株式会社パソナグループ顧問等を兼務。『国際人のすすめ』、『私の履歴書-アジアから初のユネスコ事務局長-』などの他、英語および仏語による著書多数。