2023.4.6
OSIPPでの2年間を振り返って
私は2021年4月に大阪大学法学部国際公共政策学科からOSIPPに進学しました。入学当初に下記【院生投稿】を執筆したので、博士前期課程の修了を控えた今回はOSIPP生活の振り返りを書こうと思います。(左写真:伊丹市の荒牧バラ公園(’21年5月))
【院生投稿】千馬あさひさん(OSIPP博士前期課程)
博士前期課程1年次
1年次はコースワークと就職活動がメインの生活を送っていました。
私はOSIPP経済系の学生だったので、1年次は修士論文執筆の基礎となる授業を受けていました。例えば、ミクロ経済学や計量経済学といったものです。それ以外にも、学部生時代には履修しなかった授業やOSIPPのみで開講されている授業も取りました。特に後期に履修した「Political EconomicsⅡ」は、自分の研究テーマに近い内容を学ぶことができ、修士論文のテーマを考える上でとても勉強になりました。
授業に加えて、1年次は就職活動にも注力しました。私は、政策につながるような知見を得るための研究をしていたので、実際に官公庁からの受託を受けて政策のための調査研究を行うことができるシンクタンクへの就職を志望していました。6月頃には夏のインターンシップの募集が始まったので、授業や課題、テストの合間にエントリーシート(ES)を書いたり面接を受けたりしていました。しかし、この応募が思ったよりも上手くいかず、シンクタンクやその次に志望していたIT業界など10社以上に応募したのですが、結局3社しか参加できませんでした。今振り返ると、もっと応募先の企業の事業内容等を理解していれば、それらの企業が求める内容をESに書けたのではと思います。10月頃からはインターンシップ参加者用の早期選考に参加することができ、第1志望だった企業から3月末に内々定を頂くことができました。
ただ、秋以降は1週間に講義を8コマ受けていたり、就職活動では本選考の面接やES執筆をしたりと、かなり多忙な日々でした。特に1月は毎週課題の締め切りあるいは発表があり、同時に本選考の面接やESの締め切りもあったので体力的にも精神的にも大変だったのを覚えています。今後大学院に進学される方は、時間や体力などのバランスを考えて研究や就職活動に取り組まれると良いと思います。
博士前期課程2年次
2年次は、研究がメインの1年間でした。
1年次の後期に、修士論文のテーマは「地方選挙での無投票選挙が国政選挙の投票率に与える影響」と決めていたため、2年次前期は執筆に向けて先行研究探しやデータ集め、分析を行っていました。“無投票選挙”に着目したのは、首長や議員は選挙を通じて有権者が決めるものであるにも関わらず、その機会がなくなると有権者の投票参加に係る意思決定が変化するのではないかと疑問を持ったからです。後期の初めには結論以外の部分は文章化できている状態で追加の分析をしていたのですが、その分析では論文の最終的な着地点を見つけることができず、結局は“無投票選挙”ではなく“地方選挙の頻度”に焦点を置くことにし、メインの分析ごとごっそり入れ替えることになりました。同期の友人たちが分析を終えて文章を書いている11月頃に、私だけメインの分析をしていたときのことは強く記憶に残っています。あの時の自分は「なんでこんな時期に分析してるんやろ」と密かに焦っていました。このような時期を経て、今年1月に無事最終提出を終えました。
学内アルバイト
研究や就職活動以外にも様々な活動にも参加しましたが、その中でも数種類の職種を経験した学内アルバイトについて紹介します。
私は、2年間を通してリサーチアシスタント(RA)、今記事を書いているOSIPP Newsの編集員、チューター、ティーチングアシスタント(TA)、OSIPPライブラリーの夜間開室担当に携わりました。今回は2年間担当していたOSIPP教授 松林哲也先生のRAとOSIPP News編集員について振り返ります。RAではデータ集め・整理・分析や図表作成、資料集め等をしていました。RAの仕事で学んだことは、例えばコードの書き方やデータのソースなど、自分の研究で活かせることも多かったです。またOSIPP News編集員では、OSIPPで行われているイベントや新しく着任された先生の取材、OSIPP修了生の方の現在に関する取材等を担当しました。これらの取材により、本来なら参加しなかったイベントや、関わることがなかった方たちと出会う貴重な機会をたくさん得ることができました。
現在の心境など
上記以外にも、2年次の夏にはイギリスに1か月間の語学留学に行ったり、時にはOSIPPで出会った友人たちと休日に出かけたりと、本当に充実した日々を過ごすことができました。前回の院生投稿では「(とりあえずは、という気持ちで)OSIPPに進学してよかった」と書いたのですが、今は心からOSIPPに進学してよかったと思っています。また「悔いが残らないような2年を送りたい」とも書きましたが、現在悔いは残っていません。しいて言うならば、投票行動研究が面白く感じてきたところで卒業なのが残念!ということです。ただ研究は就職してもできることなので、シンクタンクの研究員としての仕事が始まってからも続けていけたらいいなと思っています。
この2年間、OSIPPでお世話になった皆さんには感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとうございました。OSIPP進学を考えている人たちにとってこの記事が参考になれば幸いです。
(千馬あさひ 2023年3月執筆)