【My Favorite】大久保邦彦教授「あいみょん」
2024.2.14
【My Favorite】
このシリーズでは、OSIPP教員の“推し”をご紹介します。
大久保邦彦教授「あいみょん」
※《 》内は楽曲のタイトルで《 》はリンク付き、「 」内は歌詞の引用です。
2年ほど前からあいみょんが私の”推し”です。《裸の心》に出会ったのを機に、いろんな歌をYouTubeで聴くようになり、すぐにあいみょんワールドに絡め取られました。シンガーソングライターのあいみょんは、自作の歌詞を日本語ではっきりと歌うので、心にスッと響きます。
あいみょんのメロディーは昭和歌謡の影響を受けているので、どこか懐かしさを感じさせます。《ほろ酔い》は河島英五さんの歌をカバーしているのだと思い込んでいました。《君はロックを聴かない》の前奏を耳にすると、今でも森高千里さんの《私がオバさんになっても》が始まったのかと誤解します。
また、歌詞やテーマが斬新で、自由奔放で、衝撃を受けます。私も常々自由人でありたいと思っていますが、あいみょんの足元にも及びません。デビュー曲の《貴方解剖純愛歌》は、嫉妬深い女性が、好きな男性の両腕を切り落とし、両眼をくり抜き、心臓をえぐり取ってネックレスにするという歌ですが、歌詞があまりに猟奇的なので、テレビ・ラジオ局は放送を自粛しました。
《風のささやき》はあいみょんが売れていなかった頃の心境を描いた歌です。「あいつとあいつをぶん殴ってやった」「僕のことなんも知らないくせにふざけんな」「頑張れなんて言うなよクソが」「死に物狂いで生きてんだ」という歌詞からは、あいみょんの悶々とした気持ちが伝わってきます。
あいみょんが得意とするのはラブソングですが、女性目線の歌だけでなく、男性目線の歌も秀逸です。代表曲である《マリーゴールド》や《君ロック》は男性目線の歌です。男の子が神秘の領域を冒険する《マシマロ》(こう書くと王子タミーノが女王の娘パミーナの救出に向かうモーツァルトのオペラ《魔笛》みたいですね)を聴くと、男性はみなワクワクするのではないでしょうか。どうしてそんなに男心がわかるのか、不思議です。
《裸の心》《朝陽》《赤色は女を女にする》《いいことしましょ》《わかってない》《○○ちゃん》などは女性目線の歌です。若い頃にあいみょんの歌で女心を研究していれば、私の青春時代はもっと楽しいものになっていたかもしれません。
私は、昔はいろんな人のライブに行きましたが、留学したり、結婚して子供ができたりして、ライブからは20年ほど遠ざかっていました。でも、あいみょんを聴きだしてからライブ熱が再燃し、去年は『ま・あ・る』ツアーの最初の2公演(神戸)と最後の2公演(大阪)、甲子園球場で開催された『サーチライト』に参戦しました(記事冒頭の写真で手にしているのは甲子園の公演で配布された新聞です)。ライブ中は感染防止のため発声禁止だったので、《貴方解剖純愛歌》では■■と、《ふたりの世界》では■■■と、マスクの中で囁きました。『サーチライト』はあいみょんのそれまでの人生を振り返る内容でした。過去の悔しい気持ちを歌詞にした《tower of the sun》を涙を流しながら歌う姿には、私もウルウルきました。《夜行バス》や《風のささやき》にも描かれているように、1人で上京し、いろんなつらい経験を乗り越えて、今の彼女があるのでしょうね。
コンサートで見た実物のあいみょんも、メディアを通してのイメージどおり、明るいし、人懐っこいし、すぐ泣くし、感情豊かで素敵な女性でした。華奢なのに、すごい声量です。それに、あいみょんがギターを抱えて歌う姿って、恰好いいんですよ。一番気に入っているのが《さよならの今日に》の映像です。カメラ目線の映像は意外に少ないのですが、このビデオの後半では、瞳に吸い込まれそうになります。
歌詞が家出した時のあいみょんは、お茶目です(“歌詞が家出した”は、“歌詞を忘れた”ことを表すあいみょん語です)。《今夜このまま》の映像にあるように、飛び切りの笑顔で “あ~間違えちゃった” と言われると、なんでも許してあ・げ・る、という気持ちになります。ちなみにこの曲は、「完全試合のヒーロー」佐々木朗希投手(ロッテ)の登場曲です。
『ま・あ・る』ツアーで一番心に響いたのが、あいみょんが自分のことを歌った《ひかりもの》です。心に沁みる歌詞に加え、暖かくやさしく包み込んでくれる歌い方で、心がぬくまりました。この歌は「だいたいのことでは傷ついてきた 恋・仕事・生活・家族や捨ててしまいたいと悩む事ばかりだよ 繋ぎ止めたいと思うものばかりなんだよ」という歌詞で始まります。このアンビバレトな感覚、誰もが経験すると思います。いろんな分かれ道で「どんな未来も受け止め」る覚悟で選択をするのが人生、「切り捨てた何かで今がある」のです。落ち込んだ時にあいみょんの歌を聴くと、勇気づけられます。
あいみょんを未経験の人も、気になった《楽曲》があれば聴いてみてください。ただ、あいみょんワールドは奥が深いので、ご用心!
(以上は2023年3月3日にOSIPP公式SNSに掲載されたもので、以下は2024年2月15日に追記しました。)
去年の『マジカル・バスルーム』ツアー、関西シリーズ(大阪×4本、神戸、京都、和歌山)をすべて申し込んだのですが、京都と和歌山しか当たらなかったのでちょっと腐っていました。ネット上の未確認情報によると、ファンクラブの会員番号が現在18万番台のところ、40本のライブで客席が9万ほどのようなので、仕方ないのでしょうね。でも、最後の和歌山公演は前から2列目の席だったので、高く掲げた掌はわずかに届きませんでしたが、機嫌はすっかり直りました。次の映像で「上が白、下が薄緑」の衣装が和歌山公演でのものです。今回は声出しが解禁されたので、大きな声で■■■と叫ぶという貴重な経験もしました。《ノット・オーケー》
年末にリリースされた映画 “窓ぎわのトットちゃん” の主題歌《あのね》は、My Little Loverをプロデュースした小林武史ふうの楽曲で、とても気に入っています。
最新曲の《リズム64》はCMソングにもなっていますので、耳にされた方も多いのではないでしょうか。
今年のツアー『ドルフィン・アパート』にも、“健康第一、家内安全、その次あいみょん!”をモットーに参戦します。